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妊娠安定期はいつ?安定期の目安や安定期に入ったらできることを解説

新しい命の芽生えは非常に喜ばしいことですが、妊娠初期の母体には体調不良や辛いつわりなど、さまざまな変化があらわれます。

ストレスや初期流産の不安などから、安定期を待ち望む方も少なくないでしょう。

しかし、安定期に入ればすべての不安要素が解消されるわけではありません。

本記事では妊娠安定期とは具体的にいつを指すのか、安定期の過ごし方やできることなどについて解説します。

あわせて、妊娠安定期の妊婦と赤ちゃんの状態や、起こりうるマイナートラブル、リスクや病気も紹介します。

妊娠安定期がいつなのか知りたい方はもちろん、安定期の過ごし方や注意すべきポイントを知りたい方もぜひ参考にしてみてください。

目次

妊娠安定期はいつ?

「妊娠安定期」はときどき耳にする言葉ではありますが、実は正式な医学用語ではありません。

「妊娠何週目からを妊娠安定期とする」との医学的な定義はなく、初期流産のリスクが減ったり、つわりが落ち着いてきたりする時期を安定期と呼びます。

一般的には妊娠5か月目(16週目)からが安定期

一般的に妊娠安定期とは、妊娠による不調が落ち着きはじめる妊娠5か月頃(妊娠16週頃)のことを指します。

妊娠5か月頃を安定期と呼ぶ理由は、初期流産のリスクが減るからです。また、つわりの症状が落ち着くことも理由の一つといえるでしょう。

妊娠安定期に入ると胎盤が完成し、乱れていたホルモンバランスが安定しはじめるため妊娠初期に出ていた不調が落ち着きます。

胎盤が完成すると胎児の成長が加速し、徐々にお腹の大きさが目立つようになります。

体調は安定しますが、安定期以降に発症する妊婦特有の病気のリスクや、マイナートラブルが起こる可能性が完全になくなるわけではありません。

安全な出産を迎えるためには、妊娠安定期に入ったあとも無理は禁物です。

医学的に定められている期間ではない

妊娠安定期は、医学的に定められている期間ではありません。そのため、妊娠5か月頃を「妊娠安定期」ではなく「妊娠中期」と呼ぶ病院もあります。

専門医は一般的に、妊娠4週~15週を妊娠初期、16週~27週を妊娠中期、28週以降を妊娠後期と呼びます。

時期が似ているため妊娠安定期と妊娠中期が混同する方もいるようですが、同じ意味ではありません。

妊娠安定期の妊婦の状態

妊娠安定期に入った妊婦は、次のような状態となります。

  • お腹や胸が大きくなる
  • つわりが軽減される
  • 胎動を感じやすくなる

それぞれ解説します。

お腹や胸が大きくなる

妊娠安定期に入ると少しずつ徐々にお腹や胸が大きくなります。胎盤が完成し子宮は大人の頭くらいのサイズになるため、徐々にお腹がふっくらしてきます。

お腹が大きくなるにつれて目立ちはじめるひび割れのような赤い筋状の跡は「妊娠線」です。妊娠線は皮膚が急激に引き伸ばされることが原因で出現します。

保湿クリームで乾燥対策をおこなうと、妊娠線の予防につながります。

また、妊娠安定期は乳腺の発達によりバストサイズに変化が見られる時期です。トップ、アンダーともにサイズアップする可能性があります。

乳腺の圧迫を防ぐためにも、サイズの合ったマタニティブラを着用するようにしましょう。

つわりが軽減される

個人差はありますが、妊娠初期に比べるとつわりの症状が軽減したと感じる方が多いようです。

つわりが落ち着くと、食欲が戻り食事量が増えることが予想されますが、胎児の健康的な成長と安全な出産のためには適性体重のキープが重要です。

食べ過ぎには気を付け、体重管理を心がけましょう。急激な体重の増加は、妊娠線の出現にもつながります。

また、つわりの軽減は一時的で、妊娠安定期以降に再び食欲不振や不快感などの症状が悪化する方もいます。つわりは、症状も重さも人それぞれです。

「安定期に入ったのに、またつわりの症状が出てしまった」と不安を感じる必要はありません。

胎動を感じやすくなる

多くの妊婦が、妊娠5~6か月頃から胎動を感じはじめます。

胎動が感じられると、赤ちゃんの健やかな成長を実感でき安心できるでしょう。

中には胎動が分からない、胎動に気付けない妊婦もいますが、胎動の感じ方や感じる時期には個人差があるため心配しすぎなくて大丈夫です。

検診で超音波検査や胎児の心拍確認に異常がなければ、問題ありません。

妊娠安定期の赤ちゃんの状態

妊娠安定期に入ると、胎内の赤ちゃんには次のような変化が見られます。

  • 骨が丈夫になり筋肉がついてくる
  • 動きが活発になる

それぞれ解説します。

骨が丈夫になり筋肉がついてくる

胎盤が完成すると内臓や手足などの器官も徐々にできあがり、胎児の成長は急加速します。

妊娠16週~19週頃になると骨が丈夫になり、筋肉もついてくるため骨格が確認できるようになります。

妊娠5か月頃の赤ちゃんの大きさは、身長約25cm程、体重約250~300g程です。

動きが活発になる

妊娠安定期に入ると赤ちゃんの脳や神経が発達します。知性や運動機能をつかさどる前頭葉も発達するため、赤ちゃんの動きが活発になります。

早い方だと、妊娠16週頃から胎動を感じられるようになるでしょう。子宮内には胎児が動き回れるスペースがあるため、動いているうちに逆子になる可能性があります。

臨月には正常の向きに戻るケースが多いため、心配しすぎる必要はありません。

妊娠20週になると聴覚も発達し、外からの声や音が聞こえるようになります。

赤ちゃんの胎動が感じられたら、声をかけたりお腹を優しく叩き返したりしてコミュニケーションをとることもおすすめです。

妊娠安定期に起こりやすいマイナートラブル

妊娠中には、ホルモンバランスの変化や子宮の増大、体重増加などが原因の不快症状があらわれる場合があり、これをマイナートラブルと呼びます。

妊娠安定期に起こりやすいマイナートラブルには、次のような症状があります。

  • 便秘
  • 倦怠感や眠気
  • 腰痛
  • イライラ
  • お腹の張り

対処法とともにそれぞれ解説します。

便秘

胎児の成長とともに大きくなる子宮は、少しずつ腸を圧迫していくため便秘になる可能性が高まります。

無理のない範囲で体を動かしたり、こまめに水分補給をしたりして対策しましょう。

キノコや豆類は食物繊維が豊富なため、積極的に食事に取り入れるとよいでしょう。白米に玄米やもち麦を混ぜることも、食物繊維の摂取につながります。

乳酸菌飲料やヨーグルト、腸内環境の改善に作用するオリゴ糖などもおすすめです。

ただし、食べ過ぎ、糖の摂りすぎにならないよう摂取量には気を付けましょう。

倦怠感や眠気

妊娠中はホルモンバランスの急激な変化により、倦怠感や眠気を強く感じることがあります。

また、妊娠中期から後期にかけて胎児は急成長するため、栄養を送り続ける母体は貧血気味になります。

母体の貧血状態も、倦怠感や眠気を感じやすくなる原因の一つです。対策としては、鉄分の摂取が有効です。

貧血状態になると鉄分が不足するため、レバーやあさり、ほうれん草など鉄分が豊富な食材を摂取するとよいでしょう。

鉄分はビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ると吸収率が上がり、葉酸は貧血のときに不足しがちな赤血球の生成に効果的に作用します。

栄養素を手軽に摂取できるサプリメントなども活用するとよいでしょう。

また、倦怠感や眠気を感じたときには無理せず休息を取ることも重要です。可能であれば家事や仕事をセーブし、極力穏やかにすごしましょう。

腰痛

お腹が大きくなるにつれて、お腹を支えようと反り腰になる機会が増え腰痛を感じるようなります。

妊娠安定期に入ると出産にそなえて腰回りの筋肉が固くなるホルモンが分泌されることも、腰痛を感じる一因です。

腰痛対策には、腰への負担を分散させる抱き枕やクッション、腰が沈まない硬めの寝具などの活用がおすすめです。

また、定期的に背筋を伸ばし正しい姿勢を取ることを心がけましょう。背伸びやストレッチなどの軽い運動も効果的です。

イライラ

妊娠中はホルモンの変化により自律神経が乱れ、イライラしやすくなります。

お腹が大きくなることによる身体への負担や、不便なことが増えるなどの変化もストレスの要因となるでしょう。

苛立ちやストレスは交感神経を刺激し血流を悪くする場合があるため、妊娠中の女性には大敵です。軽い運動や趣味の時間の確保は、ストレス発散に効果的です。

ストレスを感じているときは呼吸が浅く酸素不足になりがちなため、ゆっくりと深呼吸をするのもよいでしょう。また、身体を温めると血流の改善に効果があります。

自身に適したストレス発散法を見つけ、イライラを貯めないマタニティライフを送りましょう。

お腹の張り

妊娠安定期は胎盤が完成する時期のため、お腹の張りを感じやすくなります。お腹が張るのは胎盤の完成による血流の増加や、子宮を支える筋肉の収縮などが原因です。

お腹の張りを感じたら無理をせず、こまめに休息をとるようにしましょう。

十分休んでいるにもかかわらず張りが収まらない、痛みを伴う、出血があるなどの場合はすぐに医師に連絡し指示を仰いでください。

適切な対応が遅れると、流産や早産のリスクが高まります。

妊娠安定期に起こりうるリスクや病気

妊娠安定期に入ったとはいえ、リスクや病気の可能性が完全になくなるわけではありません。出産まで安全に過ごすには、引き続き注意が必要です。

妊娠安定期に起こりうるリスクや病気には、次のような症状があります。

  • 切迫早産
  • 妊娠糖尿病
  • 妊娠高血圧症候群
  • 前置胎盤
  • 子宮頸管無力症

それぞれ解説します。

切迫早産

切迫早産とは、早産になりかけている状態のことです。切迫早産になると、お腹の張りや痛みが頻発する、出血がみられるなど症状が起こります。

通常であればお腹に張りを感じても少し休めば楽になりますが、休んでも張りが収まらない、規則的に張る、張りが痛みに変わるなどの症状が出た場合は切迫早産の初期症状である可能性があります。

すぐに医師に連絡し、指示を仰ぎましょう。切迫早産の場合は、とにかく安静に過ごすことが重要です。腹部に圧力がかからないよう配慮して過ごしてください。

重度の場合は入院し、必要に応じて投薬治療をおこなうことがあります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠してからはじめて発現する糖代謝異常のことです。妊娠糖尿病になると、母体にも赤ちゃんにもさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

母体に起こりうる症状は、次のとおりです。

  • 妊娠高血圧症候群
  • 羊水量の異常
  • 膀胱炎、腎盂炎
  • 網膜症

赤ちゃんには、次のような症状が起こる可能性があります。

  • 胎児肥大
  • 低血糖
  • 黄疸
  • 先天奇形
  • 心臓の肥大

妊娠糖尿病は、妊娠中にインスリンが血糖値を正常にコントロールできなくなることが原因で起こります。

発症した際には基本的に食事療法をおこないますが、必要に応じて投薬両方に切り替える場合もあります。

母子ともに悪影響を受ける可能性がある危険な病気のため、妊娠中は普段以上に適正な食事量を意識し、糖を摂りすぎないようにしましょう。

妊娠糖尿病は自覚症状がほぼないため、気付かずに発症している場合があります。定期検診は必ず受診し、血液検査やブドウ糖負荷テストなどを受け早期発見に努めましょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週目以降にみられる高血圧症のことです。発症すると蛋白尿が出たり、むくみがひどくなったりします。

妊娠高血圧症候群を発症しやすいとされる方には、次のような特徴があります。

  • BMI値が25以上
  • 40歳以上
  • 初産
  • 多胎妊娠
  • 高血圧や糖尿病の持病がある

妊娠高血圧症候群になると、胎盤が正常に機能しなくなるため発育不全や胎児死亡など、赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。

母子ともにリスクが高い病気のため、必要であれば入院して食事療法や投薬で治療をおこないます。

発症しやすい特徴に該当する方は、食事管理、体重管理を徹底し予防に努めましょう。

前置胎盤

前置胎盤とは、胎盤が子宮口の一部を塞いでいる状態のことです。胎盤は通常なら子宮口よりも上にありますが、前置胎盤の場合は通常よりも低い位置に形成されています。

自覚症状はほぼないため、検診で発見されることが大半です。胎児の成長とともに少しずつ胎盤が上がり正常な位置に戻ることも多いため、あまり神経質になりすぎる必要はありません。

ただし、前置胎盤が治らないまま胎児が成長すると突然の大量出血、早産、死産などの可能性が高まり、必要に応じて帝王切開となるケースもあります。

前置胎盤と診断された場合は、定期検診で経過を観察し医師の指示通り過ごすようにしましょう。

子宮頸管無力症

子宮頸管無力症とは、痛みや出血がないまま子宮口が開いていく状態のことです。子宮口が開きやすい体質の方は、成長する胎児や胎盤の重さに耐えられず、子宮口が開くことがあります。

正産期とされる妊娠37週~42週よりも早くに子宮口が開くと、流産や早産の危険性が高まります。

妊娠20週目以降に出血や、規則的なお腹の張りが続くことがあれば、すぐに医師の診察を受けてください。子宮頸管無力症への対処法は、絶対安静で過ごすことです。

必要に応じて子宮口が開かないように縛る処置をおこなう場合もあります。

妊娠安定期の過ごし方・できること

妊娠安定期に入ると妊娠初期に比べて体調がよくなり、活動的になりがちです。

しかし妊娠中の無理は禁物です。

体調が落ち着いたあとでも、次のことに注意しながら過ごしましょう。

  • 規則正しい生活習慣を心がける
  • 家事や仕事は負担のない範囲でおこなう
  • 遠出や宿泊旅行は医師に相談

また、妊娠安定期に入ると妊娠初期よりも制限が緩くなるため、次のような行動ができるようになります。

  • 軽い運動ができる
  • 性生活を再開できる

規則正しい生活習慣を心がける

お腹が大きくなると、身体に今までとは異なる負担がかかります。疲れやストレスが溜まった状態だと、お腹の張りを強く感じる場合もあります。

規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保してください。体調がよい場合でも、こまめに休息をとるようにしましょう。

お腹が大きくなり寝苦しい場合には、身体への負担を分散させる抱き枕の使用がおすすめです。

また、バランスのよい食事とこまめな水分補給も重要です。妊娠安定期に入るとつわりが落ち着き、つい食べ過ぎることがあります。

バランスのよい食事を3食適量摂取し、バランスの偏りや体重の増加がないよう心がけるとよいでしょう。

こまめな水分補給は、妊娠中に起こりやすい便秘の改善にもつながります。

家事や仕事は負担のない範囲でおこなう

お腹が大きくなりはじめると、今まで問題なくできていた動きが難しくなる場合があります。絶対に無理はしないでください。

長時間立ちっぱなしでいるとお腹が張ったり、力仕事をすると腹部に圧力がかかるため早産や流産のリスクが上がったりします。

さまざまなリスクを避けるためにも、家事や仕事は負担のない範囲でおこないましょう。

軽い運動ができる

妊娠安定期に入ると、軽い運動ができるようになります。激しい運動、無理して動くことは禁物ですが、適度な運動は積極的におこないましょう。

軽い運動はストレス発散や体重増加の予防、体力の維持などに効果的です。運動する際は腹部に圧力がかかる動きや、転倒の可能性がある運動は避けてください。

マタニティ教室をひらき、妊婦向けのヨガやスイミングを実施しているジムや自治体もあります。積極的に参加するとよいでしょう。

性生活を再開できる

体調に問題がなければ、性生活を再開できます。ただし、精液には子宮の収縮を促す効果があるため必ずコンドームを使用しましょう。コンドームの使用は、感染症予防にも効果的です。

また、腹部が圧迫されるような体勢、激しい性交渉は避けましょう。腹部に張りや痛みを感じた場合は、すぐに中止してください。

遠出や宿泊旅行は医師に相談

妊娠安定期に入るとつわりが落ち着くことが多いため、出産前に遠出や旅行をしたいと考える方もいるでしょう。

しかし安定期とは言え、異変が起こる可能性がゼロになるわけではありません。可能であれば、異変が生じたときにすぐ対応できる近場に出掛けることをおすすめします。

どうしても遠方に行く必要がある、宿泊を伴う旅行がしたい場合は医師に相談してから決めるとよいでしょう。

かかりつけの産婦人科から離れた場所へ出かける場合は、念のため母子手帳と保険証を常備すると安心です。

まとめ

妊娠5か月目に入るとつわりや体調不良が落ち着きだすことから、妊娠16週からを「妊娠安定期」と呼ぶことがあります。

妊娠安定期は医学的に定められた期間ではないものの、妊婦の体調が改善するタイミングのため一つの目安になります。

妊娠5か月以降に妊婦の体調が安定する理由は、胎盤が完成し乱れていたホルモンバランスが整いはじめるからです。

妊娠初期の不調やつわりが落ち着くと、食欲が回復しアクティブに活動できるようになりますが、無理は禁物です。

妊娠安定期とはいえ、妊婦特有の病気や、流産や早産のリスクがゼロになるわけではありません。また、便秘や腰痛、倦怠感や眠気などのマイナートラブルが起こる可能性もあります。

無事に出産を終えるまでは決して油断せず、妊娠中は細心の注意を払いながら、穏やかなマタニティライフを過ごしてください。

※本記事は可能な限り正確な情報を記載しておりますが、内容の正確性や安全性を保証するものではありません。
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