ライフスタイルの多様化にともない、30代で妊活をはじめる方が増えています。妊活をおこなうにあたって「30代の妊娠確率はどのくらいなのか」という疑問を感じている方もいるでしょう。
本記事では自然妊娠や流産の確率、妊娠確率が下がる原因について解説します。
30代になりこれから妊活をはじめる方のために、妊娠確率を上げる方法や生活習慣のポイント、不妊治療を受けるべきタイミングも紹介します。疑問や不安を解決して妊活に臨み、妊娠確率を高めましょう。
30代前半・後半の自然妊娠確率は?
30代前半と30代後半では、自然妊娠の確率がどのように異なるのでしょうか。ここでは、自然妊娠の確率と流産の確率について解説します。
30代前半・後半で自然に妊娠する確率
妊娠を希望する健康なカップルが自然妊娠する確率は次のとおりです。
- 3か月以内:約50%
- 6か月以内:約70%
- 1年以内:約90%
しかし年齢が上がるに従い自然妊娠できる確率が低下し、不妊率が上昇します。30代前半の女性の不妊率は15%程度ですが、30代後半の女性の不妊率は約30%です。
ただし数値はあくまで平均値であり、個人差が大きいことに留意しましょう。
30代前半・後半の流産確率
女性の年齢が上がるとともに流産確率が上昇します。30代前半の女性の流産率は15%程度とされていますが、30代後半の女性の流産率は約20%です。
流産は胎児の染色体異常や母体の健康問題が原因となる可能性があります。加齢とともに染色体異常の発生率も増加するため、流産のリスクが上昇する原因の一つと考えられています。
30代の妊娠確率が下がる原因
30代になると妊娠確率が下がるといわれますが、その主な原因としてあげられるのは次のとおりです。
- 女性ホルモンが減少する
- 卵子が老化していく
- 精子も年齢とともに老化していく
各項目を詳しく解説します。
女性ホルモンが減少する
妊娠確率を下げる原因の一つとしてあげられるのは、女性ホルモンの減少です。女性ホルモンが不足すると月経周期が乱れるため、これが妊娠の確率を下げる原因となります。
月経周期が安定していると排卵日を予測しやすいですが、月経周期が乱れると排卵も不規則になるため受精の機会が制限されます。
女性は30代に入るころから女性ホルモンの分泌量が不安定になるため、受精や着床がしにくくなることもあるでしょう。
また着床した場合でも、女性ホルモンの不足により流産のリスクが高まることがあります。女性ホルモンの不足により子宮内膜が十分に成長せず、流産につながる可能性もあります。
卵子が老化していく
女性の卵子の数は出生時に確定しています。その後は年齢とともに数が減り続け、30代になると排卵可能な卵子の数は急激に減少します。
さらに妊娠の確率に影響するのは卵子の老化です。卵子は年齢とともにDNAの損傷や異常が増加し、受精卵の発育不全や染色体異常のリスクを高めます。
またミトコンドリアの劣化も卵子の老化の原因としてあげられます。ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを作る小さな器官です。
卵子のなかにあるミトコンドリアの数や質は、受精能力胚発生能力にも影響します。
加齢によるミトコンドリアの品質低下により、受精卵の正常な発育に影響を及ぼす可能性があると考えられています。
精子も年齢とともに老化していく
年齢とともに老化する男性の精子も、妊娠確率を探る要因の一つです。女性の卵子とは異なり精子は生涯を通じて生成されますが、年齢とともに精子の数や運動能力は減少します。
精子の数の減少は受精卵が形成される確率の低下につながり、運動能力の低下は精子が卵子に到達する確率を低下させます。
卵子の老化のみではなく精子の老化も妊娠確率に影響することを覚えておきましょう。
30代で妊娠確率を上げる方法
30代で妊活している方が妊娠確率を上げる方法を紹介します。
- 排卵日前後に性行為をおこなう
- 卵子を凍結保存しておく
- 女性のみでなく男性も不妊治療をおこなう
各項目を詳しく解説します。
排卵日前後に性行為をおこなう
自然妊娠を希望する場合は、性行為のタイミングが非常に重要です。妊娠確率を高めるためには、排卵日前後に性行為をおこなう必要があります。
排卵日をできるだけ正確に予測するために有効な方法としてあげられるのは、基礎体温の計測と排卵検査薬の使用です。
基礎体温は毎朝同じ時間に測定し、基礎体温表に記録してください。計測した基礎体温から排卵予定日を知らせるスマートフォンアプリを使用するのもおすすめです。
ただし低温期から高温期へと移行する前後に排卵がおこなわれるため、基礎体温の計測のみで正確に排卵予定日を予測するのはむずかしいでしょう。
基礎体温の計測とあわせて排卵検査薬を使用することで、排卵日の予測確率が高まります。
排卵検査薬は、尿中のホルモンを調べて排卵予定日を予測する方法です。尿中には排卵を促す黄体形成ホルモンであるLHが含まれています。
LHは排卵の約24時間前から急激に増加するため、このタイミングを捉えることにより卵予定日を予測できます。
基礎体温の計測や排卵検査薬の使用により排卵日を予測して、性行為のタイミングを判断しましょう。
卵子を凍結保存しておく
卵子を凍結保存しておくのも一つの方法です。近年卵子の凍結保存技術が進化し、女性が将来妊娠するために卵子の凍結保存が可能になりました。
凍結保存した卵子を使用することで、加齢による卵子老化の影響を受けずに済みます。卵子の凍結保存は、仕事のキャリアを考えて妊娠を延期したいと考えている女性に有用な選択肢です。
ただし卵子の採取や保存に費用がかかるとともに、必ず妊娠できる方法ではないことを理解しておく必要があります。
ライフプランにあわせた妊活手段の一つとして検討するとよいでしょう。
女性のみでなく男性も不妊治療をおこなう
不妊は女性のみが原因となるわけではありません。不妊の約半数は男性側にも原因があるといわれており、精子の質や数量も妊娠に影響します。
30代で妊娠確率を高めるためには男性の健康状態も確認したうえで、必要な場合には不妊治療を検討しましょう。
まずは精子の運動能力や数量などに関する検査をおこない、不妊の原因や症状にあわせて薬物療法や人工授精、体外受精などの治療を進めます。
男性の不妊治療も女性の不妊治療と同様、心身に負担がかかる可能性があります。パートナーと十分に話しあい、納得したうえで適切な治療をおこないましょう。
30代の妊娠確率を高める生活習慣
妊娠確率を高めるためには、いくつかの生活習慣に気をつける必要があります。
30代で妊娠を望む方が妊娠確率を高めるために効果的な生活習慣は次のとおりです。
- 健康的な食生活を心がける
- 適度な運動をする
- 十分な睡眠をとる
- ストレスをコントロールする
- 適度な飲酒や禁煙を心がける
健康的な食生活を心がける
妊娠確率を高めるためには、栄養バランスのよい健康的な食事が欠かせません。
とくに葉酸、鉄、カルシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸などの栄養素は積極的に摂取しましょう。
【葉酸】
胎児の神経管形成に重要な栄養素
緑黄色野菜や豆類などに豊富
【鉄分】
子宮内膜や卵細胞の形成に欠かせない栄養素
赤身肉、豆類、ほうれん草、全粒穀物などに含まれる
ビタミンCを含む食品と一緒に摂取すると吸収が高まる
【カルシウム】
胎児の骨形成に必要な栄養素
牛乳やヨーグルトなどの乳製品、豆腐、シラスやサンマなどの魚類に含まれる
【ビタミンD】
カルシウムの吸収や胎児の骨形成をサポートする栄養素
鮭やサバなどの魚や卵に含まれる
日光浴でも生成できるため、適度に日光を浴びることも大切
【オメガ3脂肪酸】
胎児の脳や目の発達に必要な栄養素
青魚やゴマ油などに含まれる
適度な運動をする
適度な運動は、妊娠確率の向上に役立ちます。運動をすると血流がよくなり卵巣や子宮の調子が整いやすくなるため、妊娠の確率が高まります。
痩せすぎや太りすぎは妊娠に影響を与える可能性があるため、健康的な体重や筋肉量を維持するためにも適度な運動は欠かせません。
ただし妊活中はハードな運動は避けてください。転倒や落下、接触のあるスポーツ、過度な筋トレやマラソンなどは、流産のリスクがあります。
妊娠確率をあげるためにおすすめの運動はウォーキングや水泳、ヨガなどです。軽い運動を適度におこない、妊娠確率を高めましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は月経周期の乱れにつながり、妊娠確率を低下させる可能性があります。妊活中は十分な睡眠を確保しましょう。
1日に7〜9時間ほどの質の高い睡眠をとることで、ホルモンバランスが整い脳と体がリフレッシュされます。就寝時間と起床時間は、できるだけ規則的になるよう心がけてください。
就寝前は読書をしたり音楽を聴いたりしてリラックスすることも、質の高い睡眠を得るために効果的です。
寝る前にスマートフォンやパソコンのブルーライトを浴びると、目が冴えてしまうため使用を避けましょう。部屋を暗くするなど、眠りやすい環境を整えることも重要です。
ストレスをコントロールする
ストレスが妊娠の妨げになることがあります。脳がストレスを感じると、ストレスの処理にエネルギーが使用され、生殖ホルモンの分泌が滞ります。
またストレスは細胞を老化させるため、卵子や精子の質が低下する原因にもなります。できるだけストレスを受けないように環境を整え、ストレスを溜めないようにしましょう。
瞑想やヨガをおこなったり、趣味に没頭したりするのもおすすめです。慢性的なストレスで心身に不調が生じる場合は、医療機関を受診してカウンセリングや心理療法も検討しましょう。
適度な飲酒や禁煙を心がける
飲酒や喫煙は妊娠確率を低下させる要因の一つです。妊活中のアルコールやたばこの摂取はできるだけ避けましょう。
飲酒や喫煙は妊娠に必要な女性ホルモンの分泌を低下させ、排卵障害や子宮内膜の発達不良などにつながります。卵巣の老化を早める作用もあり、不妊、流産、先天異常などのリスクも高まります。
アルコールやたばこの影響は胎児にも影響があり、健康的な胎児の発育に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。
妊娠しにくくなったり妊娠中のトラブルが起こったりするのを避けるためにも、妊活中はできるだけ飲酒と喫煙を控えてください。
これは妊活中の女性に限る話ではありません。飲酒や喫煙は男性の精子の質や量にも影響を与えます。パートナーの男性も飲酒や喫煙を控えましょう。
30代で不妊治療を受けるタイミングは?
計画どおりに妊娠しない場合は、不妊治療を検討する必要があります。30代で妊活をしている方が不妊治療を受ける適切なタイミングはいつでしょうか。
ここでは不妊治療を受けるタイミングと不妊治療の主な方法を解説します。
不妊治療を受けるべきタイミング
不妊治療を受けた方がよいタイミングの目安は次のとおりです。
- 妊娠を希望しているが1年以上自然に妊娠しない場合
- 年齢が35歳以上で6か月以上自然に妊娠しない場合
- 生理周期が不規則で排卵が確認できない場合
- 子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群などの病気がある場合
- 男性側に精子の量や質に問題がある場合
上記に一つでも当てはまる場合は、不妊治療を検討してもよいでしょう。ただし不妊治療を受けたとしても必ず妊娠するとは限りません。
しかし不妊治療を受けることで不妊の原因が明確になったり妊娠の可能性を高めたりできます。不妊治療は男女ともに、体にも心にも少なからず負担がかかります。
パートナーとよく話しあい不妊治療を受けるかどうかを決めましょう。
不妊治療の主な方法
不妊治療にはいくつかの種類があるため、不妊の原因に応じて適した治療法を選択する必要があります。
主な不妊治療の方法としてあげられるのは次のとおりです。
【タイミング法】
タイミング法は女性の排卵周期にあわせて性交渉のタイミングを調整する方法です。
女性の排卵が起こるタイミングで性交することで、妊娠の可能性を高めます。
排卵予定日を正確に把握するために、基礎体温法や排卵検査薬を使用します。
【排卵誘発法】
排卵誘発法は卵巣の機能を促進して卵子の成熟をサポートする治療方法です。
クロミッドやホルモン注射などの排卵誘発薬を使用することで卵巣の卵胞が成熟し、排卵が起こりやすくなります。
これにより自然妊娠の可能性が高まります。
【人工授精】
人工授精は精子を女性の子宮内に直接注入する方法です。
性行為による受精がむずかしい場合や、男性の精子の質が低い場合におこなわれます。
人工授精は、排卵誘発法と併用されることがあります。
【体外受精】
体外受精は卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を形成したあと女性の子宮に戻す治療法です。
卵管障害や精子の運動能力低下など、自然妊娠が困難な場合に体外受精がおこなわれます。
【内視鏡手術】
内視鏡手術は子宮や卵巣、卵管などの内部を観察し、異常な組織を取り除く手術です。
主に子宮内膜症や卵管閉塞などの症状がある場合に用いられる治療方法です。
妊活中の夫婦は葉酸摂取がおすすめ
妊活中の方は葉酸を積極的に摂取しましょう。葉酸は胎児の成長に重要な栄養素です。葉酸の摂取により次のような効果が期待できます。
- 細胞分裂や繁殖に影響する核酸の成分となるプリンやピリミジンの合成を促進
- 胎児の神経管閉鎖障害や先天性心疾患など先天異常のリスクを低減
- 母体の貧血や高血圧などの妊娠合併症の予防
妊娠初期は妊娠を自覚できない期間もありますが、その間にも胎児の神経管は形成されるため、妊活中も葉酸摂取を続けましょう。
葉酸は緑黄色野菜や豆類、レバーなどに多く含まれています。食事のみで十分な量の摂取がむずかしい場合は、サプリメントや葉酸錠剤を使用しましょう。
妊活中の女性は、1日に400マイクログラム以上の葉酸摂取が推奨されています。
まとめ
妊娠の確率は年齢とともに低下します。その原因としてあげられるのは、女性ホルモンの減少や卵子、精子の減少などです。
30代から妊活をはじめる方は、本記事で紹介した妊娠確率を上げる方法や生活習慣を実践してください。性行為のタイミングに配慮したり卵子を凍結保存したりすることで、妊娠の確率は高まります。
妊活してもなかなか妊娠しない場合は、不妊治療を受けるのも選択肢の一つです。疑問や不安を解消して、前向きな気持ちで妊活を進めましょう。
※2023年11月時点の情報です。
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