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妊娠中期のお腹の張る原因は?対処法を解説

妊娠中期は妊娠5か月(16週)〜7か月(27週)の3か月間のことです。胎盤が完成し、一般的に安定期と呼ばれる時期でもあります。

つわりも落ち着き、過ごしやすい時期ですが、お腹の張りを経験する方が多くいます。お腹が硬くなり、キューッとした痛みを感じると、赤ちゃんに何かあったのではないかと不安に感じることでしょう。

多くの場合は、生理的な現象で問題ありませんが、中には切迫流産や切迫早産、病気が隠れている危険な張りの可能性があるため注意が必要です。

今回の記事では、妊娠中期でお腹が張る原因や病院を受診するべき症状について解説します。

対処法も紹介するため、お腹の張りが気になる方はぜひ参考にしてみてください。

目次

妊娠中期でお腹が張る原因

お腹の張りの原因は、子宮の収縮によるものです。子宮は伸縮性のある筋肉でできており、赤ちゃんの成長とともに引き伸ばされて徐々に大きくなります。

引き伸ばされた子宮筋は、反射的に元に戻ろうと収縮することがあり、緊張し硬くなります。この状態になるとお母さんはお腹が張っていると感じます。

お腹が張りやすい時期や頻度は人により異なり、張ったときの感じ方もさまざまです。風船がパンパンに膨らんでいるように感じる方や、サッカーボールのようにカチカチになると感じる方がいます。

また、お腹が張ったときに痛みを感じる方もいますが、痛みの感じ方もさまざまで、下腹部に違和感を感じる、下腹部が重い、お腹が引っ張られている、生理痛のような痛み、子宮を絞られるような痛みなどと表現されます。

お腹の張りは妊娠中によく起こる現象ですが、中には危険を知らせるサインの場合があるため楽観視してはいけません。

お腹が張ったときは安静にして過ごし、いつもより痛みが強かったり、長く続いたりしないか注意して様子をみましょう。

ここでは、妊娠中期にお腹が張る原因として考えられるものを紹介します。

お腹の張りが張りやすい方は、自身に当てはまるものがないか確認してみてください。

ストレスや疲労

子宮筋は平滑筋です。平滑筋は自律神経に支配されており、自身の意思で動かすことはできません。

普段は緩んだ状態ですが、ストレスや疲労を感じ自律神経が優位になると、収縮するため、お腹の張りを感じさせます。

妊娠中は、体調の変化に不安を感じたり、お腹が大きくなると動きづらくなったりするため、普段よりもストレスを感じやすい傾向があります。

また、お腹が大きくなると運動、家事、仕事のみならず、ただ立っていたり、歩いたりしたのみでも、体の負担になる場合があり、妊娠前と同じ生活でも疲労を感じることがあります。

無理をせず、意識的に休息や気分転換をおこない、ストレスや疲労を溜め込まないようにしましょう。

冷え

体が冷えると熱を逃さないようにするために血管が収縮することで血行が悪くなります。

また、熱を作り出すために筋肉を収縮させ、体温の低下を防ごうとするため、子宮筋も収縮しやすくなり、お腹の張りを感じさせる原因になります。

腹巻きやブランケットを使用し、お腹周りを冷やさないことが大切です。冷たい飲み物や食べ物は、体を内側から冷やすため、妊娠中は摂り過ぎないように注意しましょう。

便秘

妊娠すると女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えます。

プロゲステロンは体内に水分を蓄積する作用や、消化器官の収縮を抑える作用があり、便の水分が減少するため硬くなるうえに、腸の動きが弱まるため便秘になりやすくなります。

腸内に便やガスが溜まることで腸管の内圧が上がり、お腹が張りやすくなります。

胎動

妊娠中期は、赤ちゃんの体が大きくなり、胎動を感じはじめる時期です。赤ちゃんが大きくなると動きが大きくなり、蹴る力も強くなるため、胎動がお腹の張りにつながることがあります。

性行為

妊婦健診で問題がない場合、妊娠中の性行為は可能です。しかし、刺激によりお腹が張る場合があるため、張りやすい時や不調を感じているときは控えるようにしましょう。

双子

双子の場合には、単胎よりも子宮が大きくなるスピードが早いため、お腹が張りやすい傾向があります。

病気

お腹が張る原因になる病気には、胎盤後血腫、子宮筋腫、子宮内膜症、前置胎盤、絨毛膜羊膜炎、子宮頸管無力症、羊水過多などがあります。

病気が原因の場合には、切迫流産や切迫早産につながるおそれがあります。

安静にしてもお腹の張りが1時間以上収まらない、痛みが強い、出血を伴うなどの症状がある際は、必ず医師に相談しましょう。

切迫早産

切迫早産は、早産になりかかった状態のことです。日本では、妊娠21週6日までは切迫流産、妊娠22週0日以降は切迫早産と区別しています。

それは、妊娠22週未満で生まれた赤ちゃんは、お母さんのお腹の外で生きられない可能性が極めて高いためです。

22週以降でも妊娠中期に生まれた赤ちゃんは、臓器が成熟しておらず無事に生まれて来ても障害が出現する可能性が高くなります。

切迫流産や切迫早産の主な兆候は下腹部の張りや痛みです。問題ないお腹の張りとの違いは、規則的で頻回に起こることです。張りのみならず、腹痛、出血、破水を伴う場合もあります。

妊娠中期の切迫早産は、赤ちゃんの生死にかかわりますが、適切な治療により早産を避けられる可能性があります。気になる症状がある場合にはすぐに医師に相談しましょう。

切迫早産が起こる原因には、子宮内感染、子宮頸管無力症、子宮筋腫や子宮頸がんなど子宮の病気、妊娠高血圧症候群、飲酒・喫煙、高齢出産、多胎妊娠などがあります。

お腹の張りの対処法

妊娠中期のお腹の張りは、多くの方が経験します。妊娠の継続に影響しないお腹の張りは、一時的なもので安静にしていると収まります。

ここでは、お腹が張った際の対処法について解説します。

安静にする

お腹の張りは、子宮筋の収縮により起こります。子宮筋が収縮する原因には、疲れ、ストレス、冷え、胎動などさまざまなものが考えられますが、収縮を止めるためには、安静にすることが大切です。

横になり、体の力を抜いてリラックスして過ごしましょう。外出中の場合は、座れるところを探し休憩しましょう。15〜30分程度、安静にして収まるお腹の張りは心配ありません。

姿勢をこまめに変える

同じ姿勢で長時間過ごすと、お腹が張りやすくなります。こまめに姿勢を変えるようにしてみてください。

お腹が大きくなるとクッションや抱きまくらを使用し、姿勢をサポートするとお腹が張りにくくなります。

水分を取る

妊娠中はホルモンの影響で、体に水分を溜め込みやすくなるため、意識して水分補給することが大切です。水分を補うことで、便秘の解消にも効果が期待できます。

病院を受診すべき症状

妊娠中期のお腹の張りは、多くの方が経験します。安静にすると収まる場合には問題ありません。

しかし、お腹の張りは、切迫流産や切迫早産の兆候である場合もあり、よくあることだからと楽観視することは危険です。

次のような症状が見られた場合には、妊娠の継続に影響するおそれがあるため、すぐに病院に連絡し、指示に従いましょう。

出血

妊娠中期の出血には、妊娠に影響を与えるものと、与えないものがあります。妊娠に影響を与える出血は、切迫流産、切迫早産、胎盤早期剥離、前置胎盤、破水などです。

妊娠に影響を与えない出血は、子宮頸部びらん、子宮頸管ポリープなどがあります。

出血があるとお腹の赤ちゃんに何かあったのではないかと不安になりますが、出血の状態は医師の診察の判断材料になるため、正しく伝えられるように記録しておきましょう。

出血の状態で記録しておきたいことは、色、量、頻度、出血以外の症状です。出血があった場合でも、すぐに病院に向かわず、まずは電話で医師に連絡しましょう。

出血の状態や体調について、正確に医師に伝える必要があるため、妊婦さん本人が電話することがおすすめです。

安静にして様子を見るか、病院を受診するかは医師の指示に従いましょう。

収まらない張り

問題がないお腹の張りの場合には、しばらく安静にすると自然に収まります。1時間程度安静にしても張りが治まらない場合は注意が必要です。

また、頻回に張る、張りが強くなる、一定間隔で張る、腹痛を伴う場合には、切迫流産や切迫早産の可能性があります。すぐに病院に連絡し、医師の指示に従いましょう。

お腹や子宮の強い痛み

お腹の張りに加えて、動けないほどの強い痛み、冷や汗が出る、一定間隔で痛みが来る、張りや腹痛の頻度が増える場合には切迫流産や切迫早産の可能性があります。

すぐに病院に連絡し、医師の指示に従いましょう。

胃腸炎、虫垂炎、腎結石、尿路結石でも強い腹痛が起こります。これらの病気は直接妊娠の継続に影響を与えませんが、強い腹痛により子宮が収縮すると切迫早産につながるおそれがあるため、注意が必要です。

妊娠中は検査や投薬に制限があります。妊婦健診を受けている病院以外を受診する際には、必ず妊娠中であることを伝えましょう。

妊娠中期のお腹の張りに関するよくある質問

最後に妊娠中期のお腹の張りに関するよくある質問について解説します。

お腹の張りはいつ起こるかわかりません。お腹の張りが気になる方のみならず、まだお腹の張りを感じたことがない方も参考にしてみてください。

お腹の張りの確認方法は?

初めての妊娠の方は、お腹に違和感を感じても、それがお腹の張りと言われる状態かどうか判断できない方もいるでしょう。

お腹の張り方や痛みの感じ方には個人差があり、さまざまな表現をされます。

たとえば、風船がパンパンに膨らんでいる、サッカーボール(バレーボール)のような硬さ、お腹がカチカチになる、下腹部が重い、お腹の中から圧迫されている、下腹部が絞られる、生理痛のような痛みなどがあります。

妊娠30週で早産になったら赤ちゃんは助かる?

日本では、妊娠21週6日までを切迫流産、妊娠22週0日〜36週6日までを切迫早産と呼びます。

これは、妊娠21週6日までに生まれると体の各器官の発達が不十分なため、生きられる見込みが低いためです。妊娠22週を超えると適切な処置を受けることで生きられる可能性があります。

厚生労働省の低出生体重児保健指導マニュアルによると、在胎週数が22〜23週では生存率が54.9%、24〜25週では82.1%、26〜27週では90.9%、28〜29週では95.6%、30〜31週では96.5%です。

在胎週数が長いほど生存できる可能性が高くなります。しかし、妊娠35週未満で生まれた場合には、成長を促す必要があることから、NICUに入ったり、医療的処置が必要になったりする可能性があります。

妊婦におすすめのガス抜きのポーズは?

妊娠中はホルモンの影響で、腸の動きが抑えられるため、ガスが溜まりやすくなります。

ガスが溜まり、お腹の張りが起こる際は、腸のぜん動運動を促す効果のあるストレッチをおこないましょう。便秘の解消やガス抜きに効果が期待できます。

妊婦におすすめのガス抜きのポーズ1

仰向けになり、右ひざを立てます。左足は伸ばしたままにします。右ひざを両手で抱え、大きく息を吸い込み、息を吐きながら胸へ引き寄せます。

息を吸いながら膝を緩めます。5回繰り返し、左足でも同じようにおこないます。足を引き寄せる際にお腹を圧迫しすぎないように注意しましょう。

妊婦におすすめのガス抜きのポーズ2

四つん這いになり、両手を少し前に置き直します。胸とあごを床に下ろします。そのままゆっくり5回呼吸します。無理せず、心地よいと感じるところでキープしましょう。

まとめ

今回は、妊娠中期のお腹の張る原因と対処法について解説しました。

お腹の張りは妊娠中によく起こる症状で、多くの方が経験します。妊娠の継続に影響しないお腹の張りはストレス、疲労、冷え、便秘などが原因で起こりやすくなります。

生活習慣を見直し、リラックスして過ごしましょう。安静にして収まるお腹の張りは心配ありません。

しかし、安静にしても1時間以上張りが続いたり、強くなったりする場合や、出血や痛みを伴う場合には、切迫流産や切迫早産、病気が隠れている可能性があります。

不安に感じる症状がある際は、次の妊婦健診まで待たず、病院に連絡してみてください。

<参考>
厚生労働省|低出生体重児保健指導マニュアル

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