いつの間にか肌にできたしみや、元々肌にあったそばかすに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しみやそばかすを消したり予防したりするためには、日頃からの適切なケアが必要です。セルフケアにはスキンケアを始め、市販薬や食べ物を使ったさまざまな方法があります。また、根本的な治療をのぞむ場合には、美容皮膚科で施術を受ける方法もあります。
本記事では、しみやそばかすを消すためのスキンケアや食べ物について詳しく紹介します。また、市販薬や化粧品を選ぶコツ、美容皮膚科におけるさまざまな治療法なども解説します。しみやそばかすにお悩みの方、しみやそばかすを消すための方法に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
しみとそばかすの違い
しみとそばかすは肌に作られる茶色の斑点です。そばかすはしみの一種であることから、見た目が似ており混同される場合もあります。しかし、しみとそばかすが作られる原因はそれぞれ異なります。
しみの原因は紫外線やストレス
しみが作られる主な原因は、紫外線やストレスによる外部からの影響です。皮膚の中で作られるメラニンと呼ばれる色素が沈着して、肌にしみが作られます。
多くのしみは紫外線を浴びたことにより生成されますが、ストレスによりホルモンバランスが崩れることにより生成される種類もあります。しみは遺伝や体質よりも、後天性の影響が大きく関わる肌の症状です。
そばかすの原因は遺伝や体質
しみとは異なり、そばかすには遺伝や体質などの先天性の影響が大きく関わっています。そのため、遺伝や体質により幼少期からそばかすが認められるケースが多く、成長とともに増えたり色が濃くなったりします。
厄介なことは、そばかすはしみの一種であるため、紫外線の影響も受けてしまうことです。紫外線によって肌が刺激されると、皮膚の中にあるメラニン色素が刺激され、そばかすが増えてしまうケースもあります。
そばかすは鼻や頬に細かく散らばる茶色の斑点のイメージが強いのですが、背中や腕、肩まわりなど、紫外線の影響により刺激を受けやすい部位にも生じます。
しみとそばかすの主な種類
しみとそばかすにはさまざまな種類があり、それぞれ治療法も異なります。正確な治療やケアをおこなうためには、自身のしみやそばかすの種類の理解も重要です。ここでは、しみとそばかすの主な種類を4つ紹介します。
肝斑
肝斑は、女性に多く認められる肌のくすみ症状です。とくに30、40代以降の女性に多く出現し、頬や鼻付近に左右均等の色素斑ができます。
歳を重ねるごとに軽快し、70代以降になると肝斑はほぼできなくなります。肝斑の原因については未だ不明瞭な部分が多いとされていますが、皮膚への刺激や紫外線、ホルモンバランスなどの影響が考えられています。
皮膚への刺激や紫外線を避ける生活を意識すると、肝斑が自然軽快するケースもあります。また、肝斑の症状は季節により変動する場合もあります。紫外線量が多い夏には肝斑が目立ちますが、冬にかけて目立たなくなるケースもあります。
炎症系色素沈着
炎症系色素沈着は、ケガや火傷などで皮膚がダメージを受けた後、皮膚に茶色い色素が残ってしまう症状です。原因は炎症であるため、ニキビや虫刺され、レーザー治療後の傷や日焼けも該当します。
炎症の程度によって個人差はありますが、ダメージが大きければ大きいほど色素沈着は強く残る傾向があります。また、日焼けしやすい体質の方は皮膚の中のメラニンの生成も活発であるため、色素沈着しやすくなります。
炎症系色素沈着は、原因の炎症が完治すると自然治癒するケースが大半であるため、皮膚の防御反応として生じていると考えられます。
老人性色素斑
老人性色素斑は、我々が一般的なしみと捉えているものを差します。老人性といっても、30、40代以降に男女問わず現れるしみであり、まれに20代で生じる方もいます。老人性色素斑は、主に顔周りや手の甲など紫外線の影響を受けやすい部位に現れます。
老人性色素斑の主な原因は、年齢を重ねたことによる皮膚の老化や紫外線によるダメージです。とくに紫外線の影響は大きく、細胞の活性化によってメラニン色素が通常よりも過剰に生成されてしまいます。そのため、車を運転している方であれば顔の右半分や左半分など、日光を浴びやすい部位に症状が偏るケースが大半です。
雀卵斑
雀卵斑は、そばかすの正式名称です。そばかすによって生じる茶色の細かい斑点が、雀の卵に似ていることから、雀卵斑と呼ばれるようになりました。
雀卵斑は色素異常の一つであり、遺伝的な要素が大きく、次いで紫外線の影響を受ける症状です。そのため、一般的な雀卵斑は幼少期から認められ、成長するごとに目立つものとなる場合が大半です。
雀卵斑は鼻や頬に散らばるような斑点から始まり、年齢を重ねるごとに頬や口の周りなど顔全体に認められるケースもあります。
しみとそばかすに効果的なケアと予防法
セルフケアのみで、しみやそばかすを消すのは大変困難です。しかし、しみやそばかすの悪化を防止したり、再発を防止したりするためには日頃のスキンケアが重要です。ここでは、しみとそばかすに効果的なケアと予防法について詳しく紹介します。
紫外線対策の徹底
しみやそばかすを引き起こす主な原因は、紫外線です。そのため、しみやそばかすを今以上に増やさないためには、日頃から紫外線を意識した生活や対策が必要です。
まずは、外出する際に帽子やサングラスを身に着けましょう。つばのある帽子は日光が直接顔に当たるのを防ぐ効果があります。サングラスは直接瞳に当たる日光を軽減してくれるため、体内に取り込まれる紫外線量も減らすことが可能です。
また、日焼け止めによる紫外線対策も欠かせません。紫外線をケアするためには、日焼け止めを選ぶところからが大切です。皮膚にダメージを与える紫外線(UV)には主に二種類、紫外線A波であるUVAと紫外線B波であるUVBがあります。そのため、それぞれを低減できる日焼け止め選びが大切です。
UVAへの効果はPA(Protection Grade of UVA)値を見ましょう。PA値は老化の原因をつくるUVAの抑制効果を+記号で4段階で示しており、+の数が多いほど効果が強くなります。一方のUVBへの効果はSPF(Sun Protection Factor)値を見ましょう。SPF値は日焼け止めにより皮膚の炎症を低減できる指標であり、数値が上がるほど効果が強くなります。
PA値とUVA値の目安は、紫外線の強い季節や時間帯に炎天下に出る場合、PA+++、SPF50+以上が望ましいとされています。
優しく洗顔する
しみやそばかすの色を濃くしてしまわないよう、皮膚への刺激は最小限にしましょう。
しみやそばかすを作るメラニン色素は、皮膚の中にあるメラノサイトと呼ばれる細胞で作られます。メラノサイトは、皮膚への刺激によって活性化されるため、何気ない皮膚の刺激であってもしみやそばかすの悪化につながる場合があります。
そのため、日頃から優しい洗顔を心がけることが何より大切です。汚れが落ちないからといって、タオルや指などで肌を強く摩擦したり叩いたりするのはやめましょう。
また、洗顔料や化粧品を選ぶ際には、スクラブやアルコールなどの刺激成分が含まれていない製品がおすすめです。
肌の保湿を徹底する
肌の保湿により、肌のターンオーバーを整えることが可能です。しみやそばかすの原因の一つに、肌のターンオーバーの乱れがあります。
紫外線で肌がダメージを受けると、防御反応により肌にはメラニンが生成されます。生成されたメラニンは最終的に皮膚表面から垢となって出ていくのですが、肌のターンオーバーが乱れていると皮膚表面にメラニンが留まってしまいます。
メラニンの留まりが、しみやそばかすの原因です。そのため、保湿を欠かさず肌のターンオーバーを整えることは、メラニンの留まりの予防につながります。
美白成分の入った化粧品を選ぶ
美白成分の入った化粧品を選ぶことで、メラニンの抑制ができます。市販されているスキンケア商品にはさまざまな美白成分が含まれており、それぞれの成分ごとに効果も異なります。
紫外線を受けた際のメラニン生成の抑制、メラニンの色素沈着の抑制や肌のターンオーバーによるメラニン排出の促進など、普段使いの化粧品をしっかりと選ぶことで、しみやそばかすの事前防止につながります。
美白効果のある食事やサプリを摂取する
しみやそばかすのケアは化粧品のみならず、食事やサプリによるものも可能です。
とくにビタミンCはメラニンの生成抑制や、コラーゲン生成の促進に効果的であるため、意識して摂取しましょう。また、ビタミンB2やビタミンB6は肌の代謝を促進する効果があります。
サプリメントでも手軽に栄養素を摂取できますが、やはり野菜や果物など食事からの摂取が望ましいです。サプリメントはあくまでも補助的な手段として捉えた方がよいでしょう。
睡眠時間を確保する
睡眠不足で肌が荒れたり、むくみを感じたりした経験のある方も多いでしょう。睡眠不足は肌の乱れにつながります。肌のターンオーバーが乱れる原因にもなり得るため、きちんと睡眠時間を確保できるよう、早めの就寝を心がけましょう。
しみとそばかすに効く食べ物
しみとそばかすには日頃からの紫外線対策をおこなうことはもちろん、身体の内側からのケアも非常に大切です。ここでは、しみとそばかすに効く食べ物について詳しく解説します。
ビタミンCが豊富な食材がおすすめ
しみとそばかすに効く食べ物は、ビタミンCを豊富に含んでいる食材がおすすめです。
ビタミンCの働きの一つに、しみやそばかすの原因であるメラニン色素の生成抑制効果があります。メラニン色素は、チロシンと呼ばれるメラニンの前駆物質が、チロシナーゼと呼ばれる酵素によってメラニンに変化し生成されます。
ビタミンCはメラニンの生成段階で必要不可欠な酵素、チロシナーゼの働きを抑制する働きがあります。そのため、最終的にメラニンが生成しにくくなり、しみやそばかすの予防にもつながります。
また、ビタミンCにはすでに生じているしみやそばかすに期待できる効果もあります。ビタミンCの働きで、しみやそばかすの色を薄くできます。そのため、しみやそばかすの予防にも症状の改善にも効果的なビタミンCを含む食材の積極的な摂取がおすすめです。
トマトやピーマンなどの野菜
ビタミンCは野菜にも豊富に含有されています。とくにトマトやピーマン、ほうれん草がおすすめです。
スープにすると食べやすく、野菜も多く摂取できるため、ピーマンやほうれん草の入ったトマトスープにしてもよいでしょう。他のビタミンが含まれているブロッコリーやキャベツを一緒に入れても、肌によいのでおすすめです。
レモンやイチゴなどの果物
ビタミンCといえば、レモンを思い浮かべる方も多いでしょう。レモンをはじめとする果物にも、ビタミンCは豊富に含有されています。
ビタミンCの代名詞であるレモンはもちろん、イチゴやオレンジなどがおすすめです。そのまま食べてもよいのですが、シリアルと一緒にヨーグルトに混ぜれば、ヘルシーな朝食の代わりにもなります。
ジャガイモ
意外ではありますが、ビタミンCはジャガイモにも豊富に含まれています。また、ジャガイモのビタミンCは熱にも強いため、火を通しても成分が無くなりません。そのため、肉じゃがやカレーなどの料理で、簡単にビタミンCを摂取できます。
しみとそばかすをセルフケアできる市販薬
すでに生じてしまっているしみやそばかす、これからのしみやそばかすの予防のためにセルフケアをおこないたいと考えている方もいるでしょう。しかし、市販薬には多くの種類があるため、何を基準に選べばよいのか迷います。
ここでは、しみとそばかすをセルフケアできる市販薬について、3つの種類に分けて紹介します。
美容液
しみやそばかすのセルフケアには、まず適切なスキンケアが必要です。肌をしっかりとケアしておけば、しみやそばかすの着色や増殖の予防にも期待が持てます。
また、美容皮膚科の施術でしみやそばかすを消した場合、再発防止のためにもスキンケアが必要です。
そのため、美容液を購入する際には、ただ安いものを選ぶのではなく、美白成分が入っているかどうかきちんと確認して購入しましょう。美白美容液には、メラニンの生成を抑制し、しみやそばかすを防いでくれる効果があります。
クリーム
しみやそばかすの予防には、市販のしみ対策クリームもおすすめです。美容液の内容でも触れましたが、美白成分の入った化粧品にはメラニンの生成を抑制する効果があります。
クリームも同様で、とくにメラニン生成を抑制するトラネキサム酸や、肌のターンオーバーを整えるビタミンC誘導体が含まれている製品がおすすめです。
ただし、市販されているクリームには刺激が強い商品もあるため、肌に異常を感じた場合は使用を中止し、医療機関を受診しましょう。
錠剤
しみやそばかすに効果が期待できる飲み薬も販売されています。飲み薬はしみやそばかすの予防ではなく、すでに生じている症状の改善を目的としている製品が大半です。
また、飲み薬の種類によって効果や服用回数が異なります。そのため、あまり薬を飲みたくない方は、必要な服用回数が少ない製品を選んだり、1回で効果が期待できる製品を選んだりして、自身の目的に合わせた飲み薬を選びましょう。
しみやそばかすに効果的な化粧品選びのコツ
化粧品はしみやそばかすを隠すためにも有効ですが、実は化粧品によって症状を改善できるものもあります。ここでは、しみやそばかすに効果的な化粧品選びのコツを2つ紹介します。
美白有効成分入りの医薬部外品を選ぶ
これまでにも説明してきた通り、化粧品や美容液を購入する際には、美白有効成分が含まれているものを選びましょう。
しみやそばかすの原因は、過剰に生成されてしまったメラニンです。そのため、メラニンを抑制する効果を持つ美白有効成分が含有された化粧品は、しみやそばかすの予防におすすめです。
また、化粧品の効果はすぐに現れるわけではなく、肌のターンオーバーに比例します。効果を実感するには数か月程度の継続が推奨されているため、なるべく安価な商品を選び継続使用するとよいでしょう。
下地はオレンジ系を選ぶ
顔にしみやそばかすがある場合、オレンジ系の下地の使用がおすすめです。
オレンジ系の下地は肌となじみやすく、しみやそばかすが目立たなくなります。とくに光を反射しやすい、発色のよいタイプの下地はより自然に肌となじみます。下地を顔につける際には、しみやそばかすがとくに気になる部分をメインに伸ばしましょう。
塗りすぎるとかえってしみやそばかすが浮いて見える場合もあるため、自然な厚さで伸ばすことをおすすめします。一方、白系の明るい下地はしみやそばかすが目立ってしまうため、避けた方が無難です。
しみやそばかすを消す治療法
ここでは、しみやそばかすを消す治療法について、詳しく紹介します。
しみやそばかすの治療は美容皮膚科がおすすめ
これまでセルフケアを主に紹介してきましたが、しみやそばかすを根本的に改善するためには適切な治療が必要です。また、種類や症状によって治療法もそれぞれ異なります。
しみやそばかすの治療を受けたい場合には、美容皮膚科の受診をおすすめします。美容皮膚科では一人一人にあった治療法を選び、提案しています。ここからは、美容皮膚科で用いられているしみやそばかすの治療法を4つ紹介します。
レーザー治療
レーザー治療は、レーザーで皮膚に熱を与え、メラニンの色素沈着を解消する治療法です。とくに色素沈着が肌深くに入り込んでしまっており、肌のターンオーバーで排出が困難な場合にも、レーザー治療は効果を発揮します。
光照射よりも出力が強いため、比例して色素分解能力も強く、1回の施術効果も甚大です。個人差もありますが、1回の施術でしみやそばかすを除去できるケースもあります。
照射が強力な分、肌へのダメージも強いためダウンタイムが生じますが、患部に気をつけて過ごすことで、普段の生活を送れます。
IPL
IPLはフォトフェイシャルとも呼ばれる治療法です。
IPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれる広範囲の光を肌に照射し、皮膚の深い部分の細胞を活性化させます。メラニンの色素沈着を浮き上がらせるのみでなく、同時に皮膚の代謝を促すため、しみやそばかすをはじめ、肌のくすみや毛穴の目立ちなどのあらゆる肌の悩みの解消にも期待が持てます。
肌へのダメージが少ない治療法であるため、施術後は普段通りの生活が送れるのみでなく、施術後すぐに洗顔や化粧ができます。
ピーリング
ピーリングは、薬剤によって肌の汚れを除去し、肌の代謝を促す治療法です。肌のターンオーバーを整えられるため、肌の代謝により沈着したメラニン色素の排出にも期待が持てます。
薬
美容皮膚科では、上に挙げた専門的な施術のみならず、薬による治療もおこなわれます。しみやそばかすの薬には、内服薬と外用薬があります。
内服薬は、肝斑や炎症性色素沈着に有効性があり、とくにトラネキサム酸やビタミンCが主に処方されます。また、症状の改善が主な目的とされているため、予防効果はありません。
外用薬は、肌のターンオーバーを整え、沈着したメラニン色素の排出を目的として使用されます。とくにトレチノインとハイドロキノンが主に使用されています。
まとめ
今回紹介したように、しみやそばかすの原因の一つは紫外線であり、予防するためには日頃からの紫外線対策やスキンケアが必要です。また、食材や市販薬選びの際に含有成分を意識しておくと、しみやそばかすの予防につなげられます。
しかし、しみやそばかすの種類はさまざまであり、症状によって適切な治療が必要です。セルフケアや食事のみでは予防はできても、根本的な治療は困難です。そのため、しみやそばかすを消したい場合は、美容皮膚科を受診しましょう。
美容皮膚科にはさまざまな治療法があり、一人一人の症状に合わせた治療法や治療方針を提案してもらえます。最適な治療法を提案してもらうためには、安心して通える美容皮膚科を選択しましょう。
しみやそばかすを防ぎたい場合には、まず自身の食事や生活習慣、使用している化粧品を見直しましょう。そして、すでに生じてしまっているしみやそばかすが気になる場合は、市販されている飲み薬の使用や、関心のある美容皮膚科の受診の検討をおすすめします。
自身に合った予防や治療を進めながら、最終的にはしみやそばかすのない理想の肌を目指しましょう。