GLP-1は食欲を抑制する作用があり、痩せやすい体質になれると注目されているホルモンの一種です。
元々私たちの体の中に存在しているため、食事を工夫することで分泌を促進でき、ダイエットのサポートになります。しかし、どのような食事を、どのくらい取ればよいかわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、GLP-1分泌を促す食べ物や、効率よく吸収するコツを解説します。ダイエットでGLP-1を取り入れたい方はぜひ参考にしてみてください。
【ダイエットの鍵】GLP-1って何?
GLP-1とはグルカゴン様ペプチド-1の略で、食事をとると小腸にあるL細胞から分泌されるホルモンです。
痩せホルモンとも呼ばれており、体内のGLP-1の濃度が高くなると次のような効果が期待できます。
- 食欲の抑制
- 血糖値の上昇を抑える
どちらもダイエットをサポートする嬉しい作用であり、食事の我慢によるストレスも軽減できます。
それぞれの効果について詳しく解説するので、ダイエットがうまくいかない方や続かない方は、ぜひチェックしてみてください。
食欲を抑制
GLP-1は、食べたものが胃から排出されるのを遅らせ、食欲を抑制する働きがあります。ダイエットをするうえで食事制限は欠かせませんが、食欲が我慢できなかったり、反動で暴食に走ったりして、うまく痩せられない方も多いでしょう。
とくに、女性はホルモンバランスの問題で食欲が増すこともあり、食事制限を継続するのは容易ではありません。しかし、GLP-1の濃度を高められれば食欲自体を抑制できるため、無理なくダイエットできます。
血糖値の上昇を抑える
糖質を一気に摂取すると、急激に上昇した血糖値を下げようとインスリンが過剰に分泌され、脂肪がどんどん蓄えられてしまいます。
GLP-1にはインスリンの生成を促進して血糖値の上昇を抑える働きもあり、太りにくい体づくりのサポートが可能です。
また、インスリンが減少すると高血糖状態が続く糖尿病になるリスクもあるため、GLP-1で血糖値を一定に保つことで病気予防にもつながります。
日頃から甘いものや穀類のような糖を多く含んだものを好んで食べている方は、GLP-1を意識した食事を取りましょう。
GLP-1分泌を促す栄養素と食べ物
GLP-1はどのような食事でも分泌されますが、とくに次のような栄養素を摂取すると分泌がより促進されます。
- EPA
- 食物繊維
それぞれの栄養素の内容や摂取できる食べ物を紹介します。GLP-1をダイエットに活用したい方は、ぜひ食事に取り入れてみてください。
EPA
EPA(エイコサペンタエン酸)は、主に青魚に含まれる必須脂肪酸で、体内で合成できない成分です。CLP-1の分泌を促進する以外にも、血管や血液の健康維持に役立ち、中性脂肪値を下げたり、心臓病・脳梗塞などを予防できます。
厚生労働省の発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、EPAを含むn-3系脂肪酸の一日に必要な摂取目安量を次のように示してます。
年齢 | 一日の摂取目安量 |
---|---|
30歳~49歳 | 女性:約1,600mg 男性:約2,000mg |
50歳~69歳 | 女性:約1,900mg 男性:約2,100mg |
EPA単体の摂取量は明言されていませんが、上記の目安量を参考に食事から取り入れるとよいでしょう。
EPAを多く含む食材は次のとおりです。
食品 | 100gあたりのEPA含有量 |
---|---|
イワシ | 生イワシ:870mg イワシ缶:1,200mg |
あじ | 300mg |
サンマ | 850mg |
まぐろ | クロマグロ:1,400mg ※マグロの種類によって異なる |
タイ | マダイ:157mg |
EPAは熱を加えると溶け出して摂取できる量が減ってしまうため、できる限り刺身で食べることをおすすめします。次ではそれぞれの魚の特徴を詳しく解説していきます。
イワシ
イワシに含まれる可食部100gあたりのEPAの量は、生イワシの場合870mg、イワシ缶の場合1,200mgです。イワシは生の状態に比べ、高温高圧調理された缶詰の方がEPAを多く摂取できます。
また、缶詰のイワシは骨が柔らかくそのまま食べられるため、カルシウムやDHAもしっかり摂取できるのも魅力です。料理が苦手な方や面倒に感じる方は、手軽に調理やアレンジができる缶詰を取り入れるとよいでしょう。
あじ
あじのEPA含有量は可食部100gあたり300mgで、イワシに比べるとEPAの含有量は劣ります。しかし、カロリーは100gあたり約112kcalとヘルシーな点が魅力です。
また、あじは身が柔らかく脂がのっており、調理法を選ばずお刺身や塩焼き、フライなどさまざまな料理で美味しく食べられます。EPAは鯵の脂肪の中に含まれているため、鮮度がよく脂ののったものを選んでみてください。
また、生姜やネギ、シソなどとあわせて食べると、脂の酸化を防げるためおすすめです。
サンマ
サンマには、食部100gあたり約850mgのEPAが含まれています。その他にも、良質なタンパク質や脂質、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシンなどを含む栄養豊富な魚です。
とくに、旬を迎える秋は体が大きく脂乗りもよいため、サンマを積極的に食べるとよいでしょう。ただし、サンマを網で焼くとEPAが1〜2割程度落ちるといわれています。
そのため、できる限り脂ごと食べられるように、お刺身にしたり、煮物にして汁もあわせて食べてみてください。
まぐろ
マグロもEPAの含有量が多いことで知られる魚です。種類や部位によって量は異なりますが、クロマグロの可食部100gには、約1400mgのEPAが含まれています。
また、水煮タイプのツナ缶には100gあたり110mgのEPAが含まれており、マグロは値段が高めで買いにくい方にもおすすめです。
ただし、ツナ缶の中にはカツオを原料としているものもあるため、原材料を購入前にしっかり確認しましょう。
タイ
高級魚で知られるタイにもEPAが含まれています。また、豚の赤身肉や鶏の胸肉に近い量のタンパク質が含まれており、脂肪燃焼や基礎代謝の維持にも効果が期待できます。
日常的な食事に取り入れるのは難しいかもしれませんが、外食する際には意識して食べるようにしてみてください。
食物繊維
食物繊維は、GLP-1を多く分泌させる栄養素です。大腸にある善玉菌が食物繊維をエサとして短鎖脂肪酸を作り、細胞を刺激し、GLP-1の分泌を促すといわれています。
また、小腸に溜まった老廃物の排出を促す作用もあり、腸の調子を整えて痩せやすい体づくりをサポートできるのも特徴です。食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2種類があります。
水溶性食物繊維は水に溶けるとゼリー状になり、栄養素が小腸で吸収される速度を緩やかにして血糖値の上昇を抑える効果が期待できる食物繊維です。
一方、不溶性食物繊維には水を吸収して便の容積を増やす働きがあり、腸を刺激して便通を改善したり、有害物質を吸着して体外に排出したりする効果があります。
また、大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌のエサになり、腸内環境を整えます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、食物繊維の1日あたり摂取目安量は、18歳〜64歳の女性で18g以上、男性で21g以上です。
日本人は食物繊維が不足しているといわれているため、次のような食品を積極的に取り入れましょう。
食品 | 100gあたりの食物繊維含有量 |
---|---|
ごぼう | 生の状態:5.7g 茹でた状態:6.1g |
じゃがいも | 9.8g |
玄米 | 3.0g |
昆布 | 31g |
ひじき | 43.3g |
それぞれの特徴やおすすめの調理方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ごぼう
生のごぼうには100gあたり5.7g、茹でた状態で6.1gの食物繊維が含まれています。食物繊維が豊富なことで知られるレタスよりも多く、効率的に摂取できる食材です。
また、生のごぼうに含まれる5.7gの食物繊維のうち、2.3gが水溶性食物繊維、3.4gが不溶性食物繊維であるため、どちらもバランス良く摂取できます。
ごぼうには抗酸化作用のあるポリフェノールも豊富に含まれており、しみの原因になるメラニン色素の生成を抑制や老化予防にも効果が期待できます。ダイエットのみでなく、肌の調子も整えたい方におすすめです。
じゃがいも
じゃがいもには皮のある生の状態で、100gあたり5.4gの水溶性食物繊維、4.4gの不溶性食物繊維が含まれており、合計9.8gの食物繊維を摂取できます。
皮を剥くと食物繊維の量は減ってしまうため、できる限り皮のある状態での調理をおすすめします。
また、ビタミンCも豊富で、コラーゲンを合成して、肌のシミを予防し、ハリ・ツヤを与える効果が期待できます。肉じゃがやポテトサラダなど、さまざまな料理に使用できるため、普段の食事にも積極的に取り入れましょう。
玄米
玄米には、炊く前の状態で100gあたり2.3gの不溶性食物繊維、0.7gの水溶性食物繊維が含まれており、合計3.0gの食物繊維を摂取できます。白米に含まれる食物繊維の約6倍の量であり、ビタミンやミネラルもあわせて摂取できます。
人によっては硬さや味が苦手と感じることもありますが、1日に1食を白米を玄米に置き換えたり、好みの玄米を探したりして食事に取り入れるとよいでしょう。
昆布
昆布には、100gあたり約31gの食物繊維が含まれています。昆布の食物繊維は胃で消化・吸収されず、そのまま腸まで届くため、GLP-1ダイエットにピッタリです。
また、カルシウムやヨウ素、鉄分など豊富な栄養素を含んでおり、健康維持にも役立ちます。昆布は出汁やおでん、佃煮などさまざまな料理に使用できますが、料理が面倒な方は昆布茶にして手軽に摂取するのもおすすめです。
ひじき
ひじきには、乾燥した状態で100gあたり約43.3gの食物繊維が含まれています。また、鉄分、カルシウム、ヨウ素、タンニンなど、女性に不足しがちな栄養素もたっぷり含まれているのが特徴です。
ただし、乾燥ひじきは水に戻すと約8倍の量になるため、他の食材と組みあわせて適量を使用するとしっかり食物繊維が取れるでしょう。
腸内環境がよいとGLP-1の吸収率が上がる
GLP-1は小腸で生成されるホルモンです。腸内環境をよくすることで、GLP-1の吸収率が上がりやすくなり、痩せやすい体づくりが期待できます。
ここでは、腸内環境がよくなる次の食品について紹介します。
- キャベツ
- 納豆
- ヨーグルト
- 味噌
EPAや食物繊維が豊富な食品とあわせて、腸内環境を整える食材を取り入れましょう。
キャベツ
キャベツには食物繊維が豊富に含まれており、善玉菌を増やして腸内環境を整えます。また、ビタミンCも豊富に含まれており、免疫力の向上やストレスの緩和、美肌効果も期待できます。
キャベツは炒め物やスープ、サラダなどさまざまな料理に応用できるため、積極的に取り入れましょう。
納豆
納豆は、善玉菌のエサとなる食物繊維や納豆菌などが多く含まれている食品です。善玉菌が増殖し活性化するため、腸内環境が整い便秘の改善につながります。
善玉菌には免疫力や睡眠の質の向上、美肌効果なども期待できるため、健康状態が気になる方にもおすすめです。
ヨーグルト
ヨーグルトには、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌が含まれており、悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整えます。朝食や間食として手軽に食べられるため、毎日の習慣として食べるのがおすすめです。
ただし、乳酸菌やビフィズス菌は胃酸で死んでしまうことがあります。とくに空腹時は胃酸の影響が強くなるため、できる限り食後に食べるとよいでしょう。
味噌
味噌には、乳酸菌や麹菌、酵母菌の3種類の善玉菌が含まれています。さらに、善玉菌のエサとなるオリゴ糖も含まれており、腸内環境を整えるのにピッタリな食品です。
味噌は調味料としてさまざまな料理に応用できますが、なかでも味噌汁は腸を温めながら他の栄養素も効率的に摂取できるためおすすめです。
GLP-1を効率よく摂取するならGLP-1ホルモン注射がおすすめ
ここまでGLP-1の分泌や吸収を促す食品を紹介しましたが、食事から摂取するのは面倒に感じる方もいるでしょう。効率よくGLP-1を摂取したい場合は、GLP-1ホルモン注射を使用するのもおすすめです。
次では、GLP-1ホルモン注射について詳しく解説するので、ダイエットを成功させたい方はぜひチェックしてみてください。
GLP-1ホルモン注射とは?
GLP-1ダイエット注射とは、GLP-1製剤を使用して痩せやすい体質を作るダイエット法です。GLP-1そのものを摂取でき、食事で分泌を促すよりも効率的に減量が期待できます。
GLP-1ダイエット注射の投与量や注射頻度には個人差があり、最初は少ない量から始めて徐々に増やしていくのが一般的です。
注射は自身で打てるキットを処方されるため、クリニックに何度も通う必要はなく、自宅で手軽に続けられます。製剤にはいくつか種類がありますが、ビクトーザやサクセンダなどが代表的です。
ただし、日本では痩身目的での保険適応はされておらず、自費診療となるため注意しましょう。
効果
GLP-1ダイエット注射には、次のような効果が期待できます。
- 食欲を抑えて食べ過ぎを防止する
- 血糖値をコントロールする
- 基礎代謝を高めて脂肪燃焼を促進する
上記の効果により、痩せやすい体づくりができ、自力ではなかなか落ちなかった体重を効率的に減らせます。効果が現れるまでの時間には個人差がありますが、2週間程度で食欲の減退や体重減少の効果が見られることが多いようです。
また、自然と食欲が減退するため無理に食事管理する必要はなく、ストレスのないダイエットができるのも魅力といえます。
副作用
GLP-1ダイエット注射には、次のような副作用が現れる可能性があります。
- 吐き気や下痢などの消化器系の症状
- 頭痛
- 注射部位の腫れ、赤み、かゆみ、内出血
- 発汗
- 動悸
- 手足のふるえ
- めまい
- 急性膵炎
- 腸閉塞
- 低血糖 など
GLP-1ダイエット注射の使用のみで上記の症状が出る可能性は低いですが、体調を確認しながら継続が大切です。
また、1型糖尿病の方や妊娠中の方などは禁忌となるため、持病がある場合や妊娠の疑いがある場合は医師にあらかじめ相談しておきましょう。
まとめ
GLP-1は、小腸から分泌されるホルモンで、食欲の抑制や血糖値の上昇を抑えるなど、ダイエットをサポートする効果が期待できます。
GLP-1の分泌を促すためには、EPAを多く含む青魚や、食物繊維を多く含む野菜や海藻などを積極的に食べることが効果的です。
また、腸内環境がよくなることでGLP-1の吸収率が向上するため、本記事で紹介した食品を参考に、食事を見直してみるとよいでしょう。
仕事が忙しく食事を作れない方や、栄養にまで気を配れない方には、セルフ注射でGLP-1を摂取できる「GLP-1ダイエット注射」もおすすめです。
無理な食事管理をせずに減量を目指せるため、GLP-1ダイエット注射に興味がある方は、ぜひクリニックに相談してみてください。