18トリソミーとはどのような病気なのか?症状の特徴を理解しよう

出生前診断

18トリソミーとはどのような病気なのか?症状の特徴を理解しよう

あまり聞きなれないトリソミーという病気には種類があり、13トリソミー(パトウ症候群)や21トリソミー(ダウン症候群)があります。もう一つ存在している、18トリソミーはどんな病気なのでしょうか。今回は18トリソミーの症状や特徴についてお話します。ぜひこの機会に知っておきましょう。

18トリソミーとは?


18トリソミーとはエドワーズ症候群とも呼称される染色体疾患です。通常、人間の染色体は46本です。染色体は2つで1セットなので23対存在しています。22対は常染色体で、残りの1対は性染色体です。18トリソミーとは、名前にあるとおり18番目の常染色体が2本ではなく3本になってしまう染色体の病気を指しています。冒頭で出てきた13トリソミーの場合は、13番目の染色体が3本になってしまうことです。18トリソミーは先天的な染色体疾患であり、成長とともに様々な合併症が引き起こす可能性があります。

18トリソミーの特徴

18トリソミーの特徴としては、比較的小さい赤ちゃんが生まれてくることです。赤ちゃんの顔にも特徴が見られ、顎が小さかったり、首が短かったり、後頭部が突き出ていたりします。そして、最大の特徴として18トリソミーの赤ちゃんの手は、握りしめている状態であることです。その他、指が重なり合っている、足の指が曲がっているなども確認されています。こういった、視覚的に確認できる特徴の他に、肋骨が短い、骨盤が狭い、などの体の内部にも異常があります。通常の赤ちゃんと違い、18トリソミーの赤ちゃんは筋肉や脂肪がなかなかつきません。そのため、産まれたばかりの赤ちゃんは、とてもぐったりとしていて、泣き声にもあまり元気がありません。

18トリソミーの発症確率

18トリソミーの発症確率は、3,500~8,000人に一人の確率です。男女比は1:3ほどで、女児に多く見られます。自然流産になってしまう場合が多く、母親の年齢が上がるにつれて、18トリソミーの赤ちゃんが産まれてくる確率が上がります。

18トリソミーの原因

18番目の染色体が1本増えてしまう理由として、滅数分裂の失敗や体細胞分裂の失敗が原因になっています。滅数分裂とは、受精卵をつくるために精子や卵子が持っている染色体を減らす工程です。精子と卵子は2本ずつの染色体を持っていますが、受精卵として合体するためにそれぞれ1本ずつ染色体を減らします。そして、精子と卵子の染色体が合わさって受精卵になるのです。この受精卵として合体するために染色体を減らす過程で滅数分裂に失敗して染色体が3本になってしまうのがトリソミーの原因です。

18トリソミーの治療

現在18トリソミーには有効な治療法がありません。なぜなら、染色体異常に対する治療法が確立されていないためです。持っている合併症に対しては、出生後からすぐに治療を開始します。また、18トリソミーの赤ちゃんはあまり寿命が長くありません。染色体異常による流産は、トリソミーが約半分を占めています。18トリソミーで産まれてくる赤ちゃんの半数以上は生後1週間以内に亡くなってしまい、1年まで生存する確率は10%未満です。合併症が異なれば治療法も異なりますが、症状の程度が軽いと寿命を延ばせます。昨今では手厚い医療が幅広く用意されているので、生命予後は改善するとされていて、ゆっくり発達していくことが分かっています。

18トリソミーの症状にはどんな特徴がある?

18トリソミーの赤ちゃんは身体的な特徴が見られるとお話しました。例えば、耳に奇形があらわれ、難聴になってしまうのも不思議ではありません。体の一部に奇形があらわれてしまったが故に、不自由な生活を強いられるのは、過去の事例としても多く存在しています。無呼吸発作や腹直筋ヘルニアなどの様々な症状がありますが、中でも悪性腫瘍が発生する可能性が高いです。いずれも短期での治療は難しく、症状は長期にわたって治療をする必要があります。また、出生時に先天的心疾患や内臓の奇形も確認されているので、産まれてすぐに治療をしなければなりません。18トリソミーの心疾患は全体の約9割だと言われていて、ほとんどの赤ちゃんが心疾患を患ったまま産まれます。

18トリソミーの検査方法


18トリソミーの出生前診断は、「非確定検査」と「確定検査」の二種類があります。スクリーニング検査である非確定検査をして、陽性だった場合には確定検査を実施します。それぞれの検査方法について確認しておきましょう。

非確定検査:超音波検査

超音波検査とはエコー検査とも呼ばれており、お腹に超音波を当てて状況を可視化する検査方法です。お腹にジェルを塗るだけなので、体に負担がかかりません。近年の技術の進歩により、かなり鮮明に見えるようになってきています。

非確定検査: NIPT

NIPTとは母親の血液から、赤ちゃんの染色体異常を調べる方法です。検査自体の精度が高いです。お母さんと胎児へのリスクがないので安全に検査を受けられます。妊娠10週から行えるので、比較的早い時期から受診が可能です。染色体異常が見つかった際、産むか産まないかの判断や産む場合は病院選びから治療方法までの計画を立てていく必要があります。したがって、事前に十分な心の準備をするための検査であると覚えておきましょう。

非確定検査:母体血清マーカー(クアトロテスト)

NIPTと同様に、採血で染色体異常を調べる方法です。NIPTよりも検査費用が安く、妊娠15週からしか受けられない点など、様々な違いがありますが、対象疾患の違いや精度の違いが大きいです。母体血清マーカーでは21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管欠損症のみ検査ができるのに対し、NIPTでは13トリソミーや全ての染色体や性染色体について検査できます。母体血清マーカーの精度は75%から85%程度の確率だと言われていて、陽性であっても必ず疾患を持っているわけではありません。対してNIPTの精度は99%以上であり、検査結果の信頼度が高いです。

確定検査:羊水検査

お母さんのお腹に針を刺して羊水を採取して、胎児の遺伝子や染色体を検査します。直接羊水を調べるので精度が高いです。検査可能時期は妊娠15週から受けられます。15週以前だと羊水の量が十分ではないため、単純にリスクがあり検査ができません。また、羊水検査そのものにも若干リスクがあり、羊水検査後に胎児流産する可能性は0.1%から0.3%だと言われています。針を刺した後の0.1%に出血や破水などの下腹部痛が生じてしまいます。昨今では、NIPTを受けたあとの確定検査として用いられます。採取した羊水の中の胎児の細胞を2週間ほどかけて培養し、染色体の検査をするので、結果が出るまで3週間から4週間ほど必要です。

確定検査:絨毛検査

絨毛検査は早期妊娠の胎盤の一部を採取し、胎児の遺伝子や染色体を調べる方法です。妊娠10週から13週で受けられます。検査方法は2種類あり、お腹に針を刺す経腹法と、子宮頚管へ器具を通して採取する経腟法で、胎盤の位置によって検査の方法が異なります。絨毛検査は胎盤を直接刺激する検査方法なので、流産のリスクが1%ほどあることを理解しておきましょう。検査結果は2週間から3週間ほどで出ますが、稀に「胎児限定モザイク」といった正常な染色体と異常な染色体が混在した結果が出る場合があります。この場合は胎児の染色体異常の有無が確認できず、再度羊水検査をします。

まとめ

本記事では18トリソミーの症状や特徴についてお話ししました。診断を受けて不安な場合には、専門のカウンセリングがあるので、家族で相談して意思決定を手助けしてもらえるサポートなどを受けましょう。医療機関や福祉、家族からの支援が必要になるので、どんな結果でも受け入れられるように準備しておく必要があります。

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