新型出生前診断の認可施設と認可外施設の違いとは?双方の特徴を解説!

出生前診断

新型出生前診断の認可施設と認可外施設の違いとは?双方の特徴を解説!

採血だけで胎児の染色体異常が高確率でわかる検査として、近年注目を浴びている新型出生前診断。検査を受けることができる施設には認可施設と認可外施設がありますが、どちらを選択したら良いかと思っていらっしゃる方も多いかもしれません。それぞれの施設の特徴に加え、メリット・デメリットについてもご紹介していきたいと思います。

新型出生前診断の認可施設とは

認可を受けるための条件

新型出生前診断の認可施設は日本産科婦人科学会が認定した施設です。日本医学会と日本産科婦人科学会により出された「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」に基づいて認定を受けている施設が「認可施設」です。この指針による認定を受けるためには6つの条件があります。

・出生前診断に精通した臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが複数名所属し、専門外来を設置して診療している
・専門外来で30分以上診療枠を設定してカウンセリングを行いその中で検査説明を行う
・検査後の妊娠経過についてのフォローアップが可能である
・絨毛検査や羊水検査などの侵襲的胎児染色体検査に精通し、安全に行える
・小児科の臨床遺伝専門医とも遺伝カウンセリングの連携がとれる体制である
・臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーは検査について研修などを通し、検査法についての知識を十分に有し、結果説明やカウンセリングに対応できること

認定を受けている施設は大学病院を中心に全国に約100か所近くあり、認可施設では産婦人科医が検査を実施しています。

検査を受けることができる人

認可施設は誰でも受診することができるわけではありません。認可施設で新型出生前診断を受けるには以下の条件に当てはまる必要があります。

・夫婦いずれかが、染色体異常の保因者である場合
・染色体異常症に罹患した子どもを妊娠、分娩したことがある場合
・高齢妊娠の場合
・その他、胎児が重篤な疾患に罹患する可能性がある場合

以上の条件を満たし、遺伝医学的専門知識を備えた専門職が適切な遺伝カウンセリングを実施した上で新型出生前診断が受けられます。
上記の条件に当てはまる必要があるため、35歳未満の若い妊婦などは希望の検査が受けられない場合もあります。

出生前診断認可外施設とは

認可施設とどう違うのか

認可外施設とは日本医学会と日本産科婦人科学会に認定されていない施設です。単に認定を受けていないというだけで、違法なわけではありません。それでは何故、認可されていないのでしょうか。それは、日本医学会と日本産科婦人科学会が示している条件を満たしていないからです。認可施設では検査の前に遺伝カウンセリングが行われますが、認可外施設ではすべての施設において遺伝カウンセリングを実施しているわけではありません。その理由としては、遺伝カウンセリングが実施できる専門的な知識を持った医師がいないからです。
※遺伝カウンセラーが在籍する認可外施設もありますので事前に問い合わせてみると良いでしょう。

遺伝カウンセリングとは遺伝に関係する悩みや不安などを持っている人に対し、科学的な根拠に基づき正確に情報を伝え、理解できるように援助することです。専門的な知識をもつ人が話をしてくれるので、こちらも安心です。話を聞いたうえで、問題を解決していけるように心理面や社会面も含めた支援をしてくれます。
認可外施設は遺伝カウンセリングを実施していない施設もありますが、出生前診断として行う検査の質や精度は認可施設を上回る場合も少なくありません。

検査を受けることができる人

35歳以上などの年齢制限はありません。若い方でも希望すれば検査を受けることができます。
若い方でお腹の赤ちゃんの状態を知りたいと思っている方には心強いですね。

新型出生前診断の認可施設で受診するメリット・デメリット

認可施設のメリット

メリットとしては、もし陽性結果が出た場合も十分なフォローが受けられる体制が整っているということではないでしょうか。認可施設には研修を受けた専門医やカウンセラーがおり、疾患についての詳しい情報や検査の知識、出産後に受けられるサービスなどさまざまな情報を提供してくれます。つまり遺伝カウンセリングが充実しているわけです。遺伝カウンセリングでは情報提供だけでなく、心理的な支援も受けることができます。また陽性であった場合、羊水穿刺などの確定診断をする場合に同じ施設で検査を受けることができる場合が多いので、継続的なサポートを受けられるのも安心材料の一つではないでしょうか。

認可施設のデメリット

安心して受けられるメリットの一方で、年齢制限やその他条件に当てはまらなければ受診できないデメリットもあります。また、認可施設は全国に約100箇所程度しかないので、自身の住む地域から施設が離れていることもあるかもしれません。特に施設は大学病院を中心としているので、日曜日や祝日は開院しておらず、仕事をしている女性だと受診日と仕事を調整する必要が出てくるかもしれませんね。また、小さいお子さんのおられる家庭では遠方の施設まで通院することは大変だと思います。また、大学病院だと受診の待ち時間が長くなることもあるでしょう。

新型出生前診断の認可外施設で受診するメリット・デメリット

認可外施設のメリット

検査を受けたいのに年齢が若いから諦めるという必要はありません。年齢制限がないので希望すればだれでも検査を受けられます。新型出生前診断が普及する前は、35歳未満の妊婦さんがおなかのお赤ちゃんの状態を知る方法として、母体血清マーカー検査など比較的精度が低い検査を選ぶしかありませんでした。それらの検査で異常が発見されたとしても結果は確定的ではないため、陽性結果が出た場合は羊水検査などのリスクを伴う検査を受ける必要がありました。しかし、新型出生前診断は精度が高く、かつ簡単に安全に受けられる検査です。認可外施設のように年齢制限やその他の制限がない施設では、誰でも自由に検査が受けられ、早い段階でおなかの赤ちゃんの状態を知ることができます。
また、認可外施設だとかかりつけの医師からの紹介状などが必要ないので、自身で施設を選ぶことも可能です。仕事で忙しい方や子育てで時間に制約のある方も自分が行きやすい施設を選択することができますね。

認可外施設のデメリット

メリットの一方でデメリットもあります。万が一検査で陽性結果が出てしまった場合に、今後詳しい検査を受けるかどうかなど考えていかなくてはなりません。その際に継続的なサポートを受けられるかどうかは重要です。検査で陽性が出たショックは大きいでしょうし、今後の出産や子育てについての不安は大きく、さまざまな心の問題は続いていくことでしょう。最終的に出産するかどうかなどの選択をするのは本人となりますが、その決断に至るまでの精神的ケアをしてもらえるかどうかは重要です。遺伝カウンセラーによる十分な情報提供や支援がなされる施設かどうかということはあらかじめ確認しておいたほうが良いでしょう。また、陽性の場合に羊水検査などの確定検査にかかる費用を負担してくれるクリニックもありますので、こちらも事前に確認しておくと良いでしょう。
費用に関して、出生前診断は自費診療であり料金は一律ではありません。医療機関や地域によって多少の差があります。特に認可外施設は検査の料金が施設により異なるため注意が必要です。

まとめ

認可施設と認可外施設、どちらにもそれぞれメリット・デメリットがあります。検査を受けてもし陽性であった場合、その後の確定検査を実施するかどうかも考えなければなりませんし、精神的な負担も大きくなってきます。自身が納得できかつ、十分なフォローを受けることができる施設を探したほうが良いでしょう。検査を受けるだけでなく、その先のことも見越したうえで、どこの施設で検査を受けるのが自分にとって最善かということを考える必要があるのではないでしょうか。

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