13トリソミーとは?症状の特徴と検査方法について学ぼう

出生前診断

13トリソミーとは?症状の特徴と検査方法について学ぼう

世の中にはたくさんの病気があり、普段からあまり耳にしない病気も少なくありません。例えば、今回取り上げている13トリソミーも比較的珍しい病名です。13トリソミーと診断された赤ちゃんは、様々な病を抱えて産まれてきます。本記事では13トリソミーについて一から解説しますので、ご参考いただければ幸いです。

13トリソミーとは?


13トリソミー症候群はパトウ症候群とも言われています。一般的には13トリソミーと呼称されていて、染色体の異常によって起こる先天的な病です。通常、人の細胞には46本の染色体があります。染色体は2本で1つのセットで成り立ち、22対44の常染色体と、1対2の性染色体で分かれていて、合計46本の染色体となっています。

1番から22番までは父親と母親から1セットずつ常染色体を受け取っていて、残った性染色体は、男の子は「XY」、女の子は「XX」の組み合わせです。一方13トリソミーでは、名前の通り、13番目の染色体が本来2本であるはずなのに3本になっている状態や、もう1本の一部が重複している状態を指しています。

また、トリソミーには種類があり、18トリソミーと呼ばれるエドワーズ症候群、21トリソミーと呼ばれるダウン症があります。これらのトリソミーは顔貌などの違いの他、平均寿命も違い、一般に13トリソミーは最も寿命が短いです。

13トリソミーの特徴

13トリソミーの特徴としては外見的に確認できるものが多く、体格が小さかったり、胎児期からの成長や発達がとてもゆっくりであったりします。その他の特徴としては、目が小さく、瞳孔が欠けている、生まれつき唇や口内に裂がある、耳に奇形が見られるなどです。

また、心臓の病気を患っている可能性が高いと言われていて、13トリソミーである赤ちゃんの約8割が重い心臓疾患を抱えていると言われています。そして男の子の赤ちゃんの場合は、精巣が正常な位置にない停留精巣が見られたり、女の子の赤ちゃんでは双角子宮といった子宮の異常が見られたりと、高い確率で生殖器に症状が確認できます。また、乳児期の早い時期では無呼吸の状態が続く無呼吸発作があるのが特徴です。

13トリソミーの確率

産まれてくる赤ちゃんのうち、5,000~12,000人に一人の割合が13トリソミーであると言われていて、8割の赤ちゃんは13番目の染色体が3本です。13番目にある1本多い染色体は、母親から受け継がれるのが通常であるため、母親の年齢が上がるにつれて13トリソミーの赤ちゃんが見つかる確率が上がります。

そして、妊娠16週の「羊水検査」で見つかる確率が1/1,000の確率で、産まれる時で1/12,000の確率にまで変わります。羊水検査については後述します。

13トリソミーの原因

13トリソミーの特徴や発症確率は分かりましたが、一体何が原因で13番目の染色体の数が増えてしまうのでしょうか。理由としては「生殖細胞の染色体が上手く分離できなかった」ことが考えられます。本来、染色体は23本1セットで分かれていきます。

しかし、染色体が分離できないと、13番目に大きい染色体が2本入ってしまい、13トリソミーの原因になります。また、母親が高齢の場合、卵子も高齢になっているため、細胞分裂の際に染色体が分離しないことがあります。高齢出産では様々なリスクがあり、染色体異常もその中の一つです。性染色体の異常のリスクはあまり増えていないものの、常染色体のリスクは増えていると言われています。

13トリソミーの治療

現在では、13トリソミーに有効な治療法が存在しません。13トリソミーは、様々な合併症が確認されるため、各疾患に対する治療を行います。場合によっては命に関わる疾患を持っているため、出生後から治療が始まるケースも少なくありません。

また、13トリソミーだと診断された赤ちゃんの1割未満が1年以上の生存ができ、1ヶ月未満で半数、1年以内に9割近くの赤ちゃんが亡くなってしまいます。しかし、これまでは症例を追うのが難しかった13トリソミーですが、小児医療の進歩により、新生児集中治療室ではなく、自宅で療養するケースも増えてきています。

13トリソミーの赤ちゃんに対して医療的な介入をする方向に向かってはいますが、13トリソミーだと診断された場合は、出生後の家族からの支援や、手厚い医療や福祉のサポートがまだまだ必要です。

13トリソミーの症状について

先ほど少しだけ13トリソミーの特徴についてお話をしました。しかし特徴とは別に、先天的な病気や合併症のお話をします。よく確認されている症状としては、知的障害や発達障害です。

また、産まれてすぐに顔や足に特徴があらわれているのも確認されています。先ほどもお話した、心臓の疾患以外にも、脳や消化管の先天的異常の発症率が非常に高いです。中枢神経系の異常もほとんどの確率で見られ、同時にけいれんや全前脳胞症といった症状も起こっています。その他、泌尿器に関する症状もあらわれていて、腎臓が異常な形をしている、鼠経ヘルニア(お腹の筋肉が少ない部分から腸や内臓脂肪が出てしまう症状)が確認されています。他にも様々な症状があり、症状の現れ方はそれぞれですが、何かしらの身体的異常が発見されています。

13トリソミーの検査方法


13トリソミーの確率でお話した羊水検査以外にも、出生前や出生後の検査で確認ができます。検査内容は2種類あり、非確定検査というスクリーニング検査と、スクリーニング検査で陽性だと診断された場合の確定検査です。もし、13トリソミーの疑いがある場合に、確定検査を行います。

非確定検査:超音波検査

超音波検査では、超音波を当てて結果を画像にする検査です。お腹にジェルを塗りますが、体に負担がかかりません。体が小さく、心臓に奇形があらわれた場合は13トリソミーが疑われます。

また、羊水過多の状態でも13トリソミーの疑いがあります。

非確定検査:NIPT

NIPTとは、血液から染色体疾患を調べる新型出生前診断とも呼ばれる検査です。母親の血液には赤ちゃんの遺伝子の一部が含まれているため、血液から検査をおこなうNIPTでも13トリソミーを調べられます。超音波検査と同様に、体への負担がかからないです。仮に陽性でも確定ではなく、確定検査を通して結果が明らかになります。

確定検査:絨毛検査

絨毛とは胎児の一部の細胞で、検査で採取し、胎児の遺伝情報を調べる方法です。妊娠10週から13週で検査が行われます。検査方法は2種類あり、お腹に針を刺す経腹法と、子宮頚管へ器具を通して採取する経腟法で、胎盤の位置で検査方法が変わります。

血液検査と比較するとより確実に結果が分かるため、先ほど出てきた確定検査のために行われるのが一般的です。流産や早産などの危険性があるため、実施している医療機関が限られています。2週間から3週間ほどで結果が分かります。

確定検査:羊水検査

お母さんのお腹に針を刺して羊水を調べる方法です。採取後に培養して遺伝子を調べます。妊娠15週から18週で行うのが一般的です。培養をする過程があるため結果が出るのは最大4週間ほどですが、精度がかなり高く、信頼できます。赤ちゃんの染色体異常が確認された時に羊水検査をしますが、流産や早産の危険性があります。

出生後:乳児検査

乳児の身体的外見や特徴から13トリソミーを調べ、血液検査も行ってしっかりと結果を確定させます。13トリソミーであった場合、合併症の可能性を考慮し、東部超音波診断やMRI検査やCT検査やX線検査なども行います。

13トリソミーと診断された子どもの予後

13トリソミーだと診断された赤ちゃんのおよそ80%は、生後1ヶ月以内に亡くなってしまいます。しかし10%未満ではありますが、1年以上生きる赤ちゃんもいるので、出産後は家族と赤ちゃんが過ごしやすいよう、医療や福祉面などの支援が必要不可欠です。

実際、これまでは13トリソミーを持つ赤ちゃんが産まれる頻度が少なく、最適なケアの方法や症例を追うことが困難だった背景があります。

しかし最近では医療機器が充実し、技術も高度になっているため、出生前診断で染色体異常が見つけやすくなっています。

また、病院の新生児集中治療室を退院して自宅で療養するケースも増えてきていて、13トリソミーの子どもに対して医療的な介入を行うのがベーシックになりつつあります。自宅で療養する場合は病院のように設備が充実していないので、訪問医の存在が大切です。

そして、息止め発作が頻繁に見られる、気管切開している子どもは人工呼吸器を使って呼吸管理や呼吸ケアや、てんかんのケアも必要になります。

もし、13トリソミーと診断された場合は、医師の意見や遺伝カウンセリングを受けて、社会的な支援体制や倫理的問題などの疑問を解消してもらいつつ、家族で話し合って今後の対応を決めていくのが重要です。

まとめ

13トリソミーの特徴や症状、検査方法について解説しました。13トリソミーは、早期発見をするための検査がいくつもあります。もし、難しい決断をしなければならない際には、遺伝子カウンセリングを利用して専門家としっかり相談して意思決定の援助をしてもらえます。

13トリソミーに限らず、新生児が病気を抱えて産まれてきても、しっかりと向き合うために家族や専門家としっかり相談してください。

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