胎児ドックとは?受診するメリット・デメリットを理解しよう!

出生前診断

胎児ドックとは?受診するメリット・デメリットを理解しよう!

妊娠している方なら一度は出生前診断や胎児ドックという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。妊婦の中には赤ちゃんが無事に生まれてくるかどうか、検査を受けるべきか悩む方も少なくないかもしれません。この記事では胎児ドックがどのようなものなのか、またメリット・デメリットについてもご紹介します。

胎児ドックとは

検査の方法

胎児ドックとは出生前診断のうち非確定検査に分類され、超音波機器を使用しておなかの赤ちゃんの発育状態を詳しく観察する検査方法です。
生まれてくる赤ちゃんのうち3~4%は何らかの異常をもって生まれてくると言われています。赤ちゃんが生まれる前にどのような病気を持っているのかを調べ、その検査結果に基づいて診断することを出生前診断といいます。出生前診断は現在4種類あります。

①レントゲンや超音波、MRIを用いた画像診断法
②おなかの赤ちゃんから細胞を摂取して検査する羊水検査や絨毛検査
③お母さんの血液を使用する母体血清マーカーや新型出生前診断
④体外受精した受精卵の細胞を用いる着床前診断

検査には確定的検査と非確定的検査があり、羊水検査や絨毛検査は確定的検査にあたります。一方で、非確定的検査は母体血清マーカーや新型出生前診断、超音波検査である胎児ドックも非確定的検査に分類されます。胎児ドックがどのような検査なのか詳しく説明していきましょう。胎児ドックは超音波機器を使用しおなかの赤ちゃんの発育状態を詳しく観察し、内臓の奇形や染色体以上による障害、先天性心疾患の可能性がないかを調べる検査です。超音波機器は使用しますが、健康診断で赤ちゃんの様子を確認する通常超音波検査とは異なります。胎児ドックというのは正式名称ではなく、病院施設によって名称や検査方法が異なり、胎児超音波スクリーニング、胎児精密検査、胎児超音波検査などと呼ばれています。

どのような人が検査を受けているのか

検査はすべての人に義務付けられているものではありません。
健康診断で医師から指摘された方や高齢出産の方、前回の妊娠で赤ちゃんに疾患が発見された方や赤ちゃんの先天性の病気が心配な方など様々で、検査を受けるかどうかについては当事者の判断にゆだねられることになります。

ここで高齢出産について少しふれておきましょう。日本産婦人科学会は「高齢出産は35歳以上の初産婦を指し、出産経験のある女性は40歳以上で高齢出産」と定義しています。では高齢出産にはどのような問題があるのでしょうか。日本産婦人科医会によれば35歳頃より卵子の質の低下がみられ、染色体数の異常が出現する割合が増えるとのことです。染色体異常とはダウン症候群やターナー症候群などです。これらは精神発達の遅れや成長発育の遅れ、心疾患などさまざまな症状が出現する可能性が高まります。
また、女性は年齢を重ねるにつれ子宮筋腫や子宮がん、子宮内膜症などの病気にかかりやすくなり、妊娠や出産時のリスクが高まります。おなかの赤ちゃんだけでなく、母体へのダメージも大きくなるというわけです。

検査を受けるリスクの有無

先にも少しふれましたが、出生前診断には確定的検査と非確定的検査があります。確定的検査は羊水検査と絨毛検査で、羊水検査はおなかに針を刺して羊水を取り出す検査です。おなかに針を刺すので血管や腸を傷つけ、出血させてしまうリスクもあります。また感染症のリスクも。絨毛検査についてもおなかから胎盤へ針を刺す方法と膣から子宮頸管を通して絨毛細胞を採取する検査で、いずれにおいても多少の痛みを伴ったり流産のリスクも考えられます。

一方で胎児ドックを含む非確定的検査はおなかに針を刺したりはしないため流産や死産のリスクがない検査です。ただし、リスクがない一方その検査だけでは診断がつかないので、診断を確定させるためには確定的検査を受ける必要がでてきます。

胎児ドックはいつどこで受けられるのか?費用は?


日本産科婦人科学会産婦人科ガイドラインによれば検査の時期は妊娠10~13週頃、妊娠18~20週頃および妊娠28~31週頃の3つの時期から適宜設定すると記載があります。
妊娠初期(妊娠10~13週)では、おなかの赤ちゃんは人間としての形が形成される時期で、全身の状態や脳、顔、手足の状態を確認することができます。
妊娠中期(18~20週頃)では、赤ちゃんの心臓やその他の内臓も小さいながら確認できるようになります。
妊娠後期(妊娠28~31週)は妊娠中期とほぼ同じチェック項目ですが、より詳しく臓器の状態を観察できるようになります。中期以降の発育の段階で赤ちゃんの体に変化が出てくる可能性もあり、後期になって問題を指摘されることもあります。

出生前検査、胎児ドックが普及してきたとはいえ、日本全国どこの医療施設でも検査が受けられるわけではありません。施設の中には、妊婦健診で行う通常超音波検査を実施していても、胎児超音波検査いわゆる胎児ドックは実施していないところもあり、胎児ドックを希望する場合、別の病院で検査を受けなければならない場合もあります。また施設によって診察内容は異なるので、自身が希望する検査がどこで受けられるのか予め確認が必要です。費用について胎児ドックは一般的に保険適用外の自費診療となることや施設ごとに検査の内容も異なるため、診療費約2~5万円と幅があります。

胎児ドックを受診することでわかること

胎児ドックでは、お腹の赤ちゃんの数や成長の具合、臍の緒の血液の流れ、心臓の働きについて検査をし、赤ちゃんの状態を知ることができます。しかしあくまで、超音波検査なので100%確実に状態を把握できるわけではありません。妊娠初期は赤ちゃんの首の後ろのふくらみや鼻の骨、血流、心拍数などを検査しダウン症や、13トリソミー、18トリソミーなどの染色体異常のリスクを調べます。妊娠中期後期になると赤ちゃんの臓器が観察できるようになります。心臓や脳だけでなく、消化器官などすみずみまで診ることができるので、先天性の体の異常を発見することができるようになるのです。しかし、あくまで推定であって確定診断を得られるわけではありません。

胎児ドックを受診するメリット・デメリット

メリットは母体や赤ちゃんへの影響がないということです。おなかに針を刺したりしない検査なので、痛みや感染、流産・死産のリスクがありません。また、超音波により視覚的に観察できるため先天性心疾患を見つけることができます。痛い思いやリスクを背負って検査することなく、おなかの赤ちゃんの状態を知り、何か異常があった時、早くから準備することができますね。また施設によって費用は異なりますが、母体血清マーカー検査や新型出生前診断など他の非確定的検査に比べると比較的安価で検査が受けられることもメリットの一つでしょう。

一方で、デメリットとしては羊水検査や絨毛検査に比べて検査の精度が劣ることです。そして、先にも述べていますが、胎児ドックは診断を確定する検査ではないため、もし陽性判定が出た場合、染色体異常の有無を正確に知りたいのであれば羊水検査や絨毛検査を受けることになるでしょう。陽性判定が出た場合、妊婦や家族の心理的負担は大きくなるでしょうし、また羊水検査や絨毛検査は流産や破水のリスクもあるため、検査を受ける前にきちんとパートナーと話し合っておく必要があります。

まとめ

医療の発達とともに出産する前におなかの中の赤ちゃんの様子をより詳しく知ることが可能になりました。しかし、知ることでさらなる検査の必要性や今後どのような選択をするか選択した後その選択が正しかったのかなど心理的負担も出てくるかもしれません。メリットやデメリットについて十分に理解した上で検査を受ける前に、パートナーともよく話し合っておく方が良いでしょう。

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