【検査別】出生前診断にかかる費用は?
【検査別】出生前診断にかかる費用は?
妊娠中に、おなかの赤ちゃんに異常がないかどうかを調べられる「出生前診断」。高齢出産やハイリスク妊娠に該当する方のなかには、妊娠前から気になっている方もいるでしょう。
本記事では、出生前診断にかかる費用について説明します。
目次
出生前診断とは
出生前診断とは、妊娠中に胎児の状態を検査し、胎児の状態に対して結果を下す診断を指します。
ダウン症候群やエドワード症候群、パトー症候群や開放性神経管奇形など、先天性疾患や染色体異常の有無を妊娠中に調べられる検査として、日本では1968年から羊水検査が導入されました。
出生前診断が行われる期間は、主に妊娠9週から18週の間。現在は羊水検査の他にも複数種類の診断方法があります。
出生前診断の種類
出生前診断は、大きく分けてふたつのタイプがあります。
ひとつ目は「非確定的検査」と呼ばれる、赤ちゃんの疾患の可能性を調べるために行われる検査です。
ふたつ目は「確定的検査」。確定的検査は、赤ちゃんの疾患の診断を確定するために行われるものです。
非確定的検査では、13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)の他、性染色体異常、全染色体異常、微小欠失の検査が可能です。
確定検査では、全染色体の疾患を確定診断することができます。
非確定的検査、確定的検査ともに、それぞれ数種類に分けられます。
<非確定的検査>
・超音波検査(エコー検査)
・母体血清マーカー検査(トリプルマーカー、クアトロテスト)
・新型出生前診断(母体血胎児染色体検査:NIPT)
<確定的検査>
・羊水検査(羊水染色体検査)
・絨毛検査(絨毛染色体検査)
医療機関によって、対応している検査は異なります。
また、検査によって受けられる時期、検査料にも違いがあります。
詳しくは後ほど説明します。
出生前診断のメリットとデメリット
診断を受けるかどうかを判断する際は、どちらも理解した上で検討しましょう。出生前診断のメリット
出生前診断のメリットは、以下の2点です。
・出産後すぐに治療を開始した方が良い先天性疾患の有無が調べられる
・可能性のある疾患、障害が事前にわかることで、親としての事前準備、学びに時間をかけられる
早めに赤ちゃんの状態を知ることで、生まれてきた後の準備を早めに進めておける点が、もっとも大きなメリットです。
また妊娠中の適切な妊娠管理や出産後の医療体制の検討を進めることができるようになります。
出生前診断のデメリット
一方で、出生前診断にはデメリットもあります。
・確定的検査(羊毛検査・絨毛検査)には流産リスクがある
・異常がわかって不安になる可能性がある
・経済的負担
まずは、母体・赤ちゃんへのリスクです。特に、確定的検査である羊水検査、絨毛検査は、その特性上母体への負担が大きく、流産リスクも生じます。
非確定的検査で疑いが生じた場合、確定的検査を受けるのかどうか判断を迫られることも、頭に入れておいた方が良いでしょう。
また、出生前診断は自費診療の扱いとなるため、検査を受ける病院によっては検査費が高額になるケースも。
不安や費用が伴う検査になるため、出生前診断を受ける病院選びが大切です。
出生前診断を受診する上で注意しておくべきポイント
出生前診断を受診する前に知っておきたい注意点についてご紹介します。必ず受診前に理解しておきましょう。
まず、NIPTは保険適用外であり、全額自己負担です。これはクリニックに関係なく、どこの施設で受けてもNIPTであれば20万円程度かかります。また、確定的検査を受ける場合は、さらに追加で10万円程度の費用が必要です。検査一回で30万円程度かかると認識しておきましょう。
しかし、産まれてきた子どもがなんらかの障害を抱えていた場合は、フォローを受けることができます。
そして、出生前診断を受けるために制限がある施設もあることも知っておきましょう。出産時の年齢が35歳以上であったり、過去に染色体疾患を持つ赤ちゃんを出産したことがある場合だったり、その条件はさまざまです。
また、陽性的中率は出産時の年齢に依存していて、年齢が若いほど精度が落ちてしまいます。したがって、出生前診断で陽性反応が出ても、必ず遺伝子異常があるとは言い切れません。
陽性判定が出た際には、確定的検査を受けて結果を明らかにします。
また、NIPTの結果が出るまで2週間程度時間がかかる点にも注意してください。いろいろなことが頭をよぎって、検査結果を待つ時間は悩みやすい時期となります。そのため、カウンセリングを受けたり、夫婦で相談したりして、適切な対応を取れるようにしておきましょう。
出生前診断にかかる費用はいくら?
出生前診断には、保険が適用されません。自費診療になるため、費用は医療機関によって違いがみられます。
ここでは、現段階での費用の一例を紹介します。正確な費用に関しては、現在かかっている医療機関に確認しましょう。
出生前診断のスケジュールと費用例
認定施設での非確定的検査である新型出生前診断(NIPT)の受検にかかる総額費用は医療機関によって異なりますが、約15~21万円です。
認定施設での新型出生前診断(NIPT)は具体的に3つの疾患を調べることができます。
①ダウン症候群(21トリソミー)
②エドワーズ症候群(18トリソミー)
③パトー症候群(13トリソミー)
※認定外の施設では3つの疾患以外にも、性染色体異常、全染色体異常、微小欠失の検査が可能です。
陽性判定となった場合、より詳細な検査である確定的検査を受けるケースが多いです。
認定施設では、新型出生前診断(NIPT)の費用に確定的検査の費用も含まれている場合が多いですが、認定施設・認定外施設のいずれにしても受検前に確認しておくのがおすすめです。
また新型出生前診断の検査を受ける前には、多くの医療機関でカウンセリング、遺伝カウンセリングを受けることを条件付けています。
カウンセリングは夫婦そろって受診し、医療機関によっては検査後、結果を聞く前に再度受けることを義務付けているところもあります。
カウンセリング料は、1回およそ5,000円。2度行われる医療機関の場合は、2万円です。
採血検査の場合、医療機関によっては1度目のカウンセリングと検査を同日に行える場合もあります。
スケジュール、費用のイメージは以下の通りです。
妊娠週数は、受ける検査の検査時期によって異なります。
出生前診断の主なスケジュール
1.カウンセリング予約(同時に可能であれば検査予約)
2.カウンセリング
3.検査
4.カウンセリング
5.結果
出生前診断の費用例
・カウンセリング料(2回分の場合もあり)
・各検査料(検査だけのために受診する場合は初診料も要。日帰り入院費用が発生することもあり)
・交通費
交通費は、妊婦健診とは別にカウンセリング、検査時の分が最大3回分発生します。
検査料は種類によって変動します。
出生前診断は、それぞれ検査を受けられる時期が異なり、ここでは週数が浅いものから順に説明します。
なお、妊婦健診を受けている医療機関と別の病院で検査を受ける場合は、初診料も必要です。
●超音波検査(エコー検査):非確定的検査
・検査時期:妊娠11週~13週
・検査料:2~3万円前後
・結果までに要する期間:検査当日
通常の妊婦健診でも行われている検査です。
そのため、妊婦健診以外の日に別に出向く必要はありません。
ただし、中期・後期に行われる検査で気になる点が診られた場合は、さらに詳しい超音波検査を別日に行える医療機関もあります。
この場合は、追加の検査費用1回分と交通費1回分が発生します。
●絨毛検査:確定的検査
・検査時期:妊娠11~14週
・検査料:10~20万円前後
・結果までに要する期間:2~3週間
母体の腹部に針を刺し、「絨毛」と呼ばれる細胞を採取して行われます。
現状、もっとも流産リスクが高く、1%の割合で流産が起こる検査方法です。
羊水検査よりも早期に調べられますが、受け付けている医療機関の数はそれほど多くありません。
また、医療機関によっては日帰り入院での検査となるケースもあり、別途入院費用が発生します。
●羊水検査:確定的検査
・検査時期:妊娠16~19週頃
・検査料:10~20万円
・結果までに要する期間:2~4週間
羊水検査も、流産リスクを伴う確定的検査です。可能性は0.2~0.3%と絨毛検査よりは低くなっています。
検査は外来で行われますが、場合によっては日帰り入院扱いとなることも。入院となった場合は、別途入院費用が発生します。
●母体血清マーカーテスト:非確定的検査
・検査時期:妊娠16~18週頃
・検査料:2~3万円
・結果までに要する期間:2週間
血中のホルモン、タンパク質の濃度を調べる非確定的検査です。
トリプルマーカーテスト、クアトロテストの2種類に分けられます。
●新型出生前診断(母体血胎児染色体検査:NIPT):非確定的検査
・検査時期:妊娠10~22週
・検査料:20万円前後
・結果までに要する期間:2週間
2013年から開始された、母体の採血による出生前診断です。
非確定的検査ではありますが、精度が99%と高い点が特徴です。
一般的に検査を案内される対象者は出産予定日の年齢が35歳以上の方と、染色体疾患を持つ子どもの出産経験者、その他非確定的検査で染色体疾患の可能性が生じた方。
また、医療機関によっては染色体疾患を持つ子どもの出産経験者、その他非確定的検査で染色体疾患の可能性が生じた方など、条件を設けているところもあります。
出生前診断の費用に保険は適用される?
出生前診断は自費診療です。そのため、カウンセリング、検査ともに保険は適用されません。
費用の支払い方法は現金もしくは医療機関によってはクレジットカードを利用できます。
出生前診断は医療費控除の対象になる?
出生前診断は「診療」に該当しないものとされ、受けるかどうかも妊婦、夫婦の任意の検査です。
そのため、医療費控除の対象にもなりません。
出生前診断の費用傾向
国際的には新型出生前診断(NIPT)の検査実施数が増大し、低価格化が進んでいる出生前診断。
日本でも、出産年齢の高齢化を背景に出生前診断を希望する妊婦は増加見込みとされており、認可・認可外のいずれも年々増加しています。
今後、新型出生前診断を受けられる社会的な体制が整い、低価格化が実現することでより妊婦にとって一般的な検査となっていく可能性もあります。
出生前診断の費用は病院や地域によって異なる?
出生前診断は自費診療となるため、費用は一律ではありません。
おおよその価格帯はありますが、医療機関や地域によって多少の差があります。
東京や大阪といった医療機関が多い都市部では、安い費用で検査を行っているところも費用で判断する際に知っておきたいのが、認可外の施設です。
新型出生前診断(NIPT)は、日本医学会と日本産科婦人科学会が認定する施設のほか、認定を受けていない医療機関、クリニックでも検査を行っています。
認可施設は国内に100施設程度で、検査を受けるために年齢制限や紹介が必要になります。
認可外施設では検査条件がありませんが、認可外施設のなかには、カウンセリングを行わず心理的なケアが受けられないことも。
出生前診断は、命がかかわる判断を下さなければならない検査です。
安心して検査を受けられるよう、費用が適正であるか、精神的な面や検査後のフォロー体制があるか、など確認しましょう。
また、どの医療機関でもすべての出生前診断に対応しているわけではありません。
検討する際は、医療機関のHPに掲載されている対応可能な検査と費用を確認しましょう。
まとめ
出生前診断は、検査によってはリスクがあるものです。
さらに、リスクがあり高額な確定的検査でも、現時点では100%正確な結果が出るわけではありません。
妊娠中や出産後の安心へと繋げるために、費用面の検討も踏まえて出生前診断を受けましょう。
心配な場合は医療機関やカウンセラーに質問や相談を積極的にするのもおすすめです。
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