新型出生前診断を受ける割合はどのくらい?海外との受診率の差も解説!

出生前診断

新型出生前診断を受ける割合はどのくらい?海外との受診率の差も解説!

生まれてくる赤ちゃんを迎える準備として、最近は新型出生前診断を受ける人も増えているといいますが、妊婦全体のどのくらいが受診をしているのか、受診率が気になる人もいるのではないでしょうか。今回は新型出生前診断を受ける割合と、海外との受診率の差もあわせて解説していきます。

新型出生前診断を受診する前に理解しておくべき点


新型出生前診断を受けようと思っていても、実は詳しいことは知らないという人もいるのではないでしょうか。新型出生前診断を受診する前に理解しておくべき点を、詳しく説明していきます。

新型出生前診断は比較的新しい検査

新型出生前診断は、出生前診断の中でもまだ新しい検査であり、日本では2013年から行われるようになりました。出生前診断には、流産や死産のリスクがあるがそれだけで診断が確定する「確定的検査」と、母体からの採血のみでリスクはないがそれだけでは診断がつかない「非確定的検査」があり、新型出生前診断は非確定検査になります。新型出生前診断がスタートする以前は、非確定検査は「コンバインド検査」と「母体血清マーカー検査」がありましたが、このどちらもが感度がそれほど高くなく、コンバインド検査では80%、母体血清マーカー検査では83%となっています。しかし、新型出生前診断の場合の感度は98~99%、ほぼ100%に近い数値となっています。確定的検査の感度は間違いなく100%で、検査の結果が先天性疾患の有無として確定するのですが、母体や胎児へのリスクを考えると、まず新型出生前診断を受けることが安全でおすすめだといえるでしょう。

新型出生前診断を受けることで得られるメリット

出生前診断とは、おなかにいる赤ちゃんの障害の有無を出産する前に確認する検査ですが、障害があると分かったとしても、出産するまでの間に治療を開始できません。しかし、前もって障害があることが分かれば、障害がある子供を迎える心構えもできますし、その子に合わせた育児に向け準備を整えることもできます。障害があり根治的な治療ができなくても、出産後に治療することで異常の一部や症状などを治療することも可能です。

新型出生前診断で陽性になった場合

もし新型出生前診断で陽性になってしまったら、それを受け入れて出産のための準備をすることができない母親もいるでしょう。人工妊娠中絶を選ぶ人も少なくないといいますが、そのような選択をする前に、確定検査を受けることを検討してみてください。新型出生前診断は感度が高いのですが100%確証するものではなく、正確に先天性疾患の有無を診断するためには確定的検査を行うことが必要になります。陽性と結果が出ることはショックを受けると思いますし、確定的検査は母子ともにリスクがあるものなので、ためらいがあるかもしれません。「もし陽性になったら」、新型出生前診断を受ける際は、そのこともよく考えておくことが大切でしょう。

軽い気持ちで受ける検査ではない

採血するだけで胎児の状態を知ることができる新型出生前診断ですが、ただ赤ちゃんが元気なのかどうかを知りたいといった、軽い気持ちで検査を受け後悔する人もいます。そのような軽い気持ちで検査を受けた場合だけでなく、真剣に障害の有無を知りたくて検査を受けた場合も、結果が陽性になれば動揺してしまうはずです。出産するのか諦めるのか、選択することになれば新型出生前診断を受けなければよかったと後悔するかもしれません。非常にデリケートな問題を扱う新型出生前診断ですから、検査を受けるだけでなく専門家による遺伝カウンセリングも受けることをおすすめします。

新型出生前診断を受ける割合はどれくらい?


「新型」に限らず、出生前診断を受ける妊婦の割合は、日本では100%です。出生前診断は、採血や羊水・絨毛を採取して染色体疾患を調べる検査だけでなく、妊婦検診で行われるエコー検査も広い意味で出生前診断になりますし、妊娠したら何らかの出生前診断を受けているということです。それでは、新型出生前診断の割合はどのくらいなのでしょうか?

新型出生前診断の受診率について

1998年から2016年までの間、新型出生前診断を含む出生前診断は、出生数97.7万件における7.2%で、高齢妊婦数27.8万人における25.1%を占めていました。出生前診断のうち、羊水検査は2014年から年々減少していますが、これは2013年より開始された新型出生前診断の影響があると考えられています。日本で新型出生前診断が開始されてから5年間で、検査を受けたのは5万8000人、2017年では推定1万3000人というデータがあります。しかしながら、新型出生前診断の受診率については、はっきりとした数字が発表されていません。これは、出生前診断を登録するシステムがないことで、実際の数を把握することができないからです。また、認可外の施設で行われた新型出生前診断の数は把握しづらいのですが、こちらも受診者数が年々増加しているのは間違いないようです。新型出生前診断を導入する目的のひとつが、流産のリスクを伴う確定的検査(妊婦さんのおなかに針を刺して羊水や絨毛を採取する検査)の、件数を減らすことだということ、これは達成されつつあるといえますね。

海外と日本では出生前診断の受診率に差はある?

新型出生前診断は、2011年にアメリカで開発された検査で、現在はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、その他日本も含め多くの国で開始されています。日本では臨床研究から一般診療に移行することが発表されたものの、保険診療の対象外なので検査費用は全額自己負担です。日本と同様に臨床研究から実施されたオランダでは公費負担であったり、国によって公費補助の有無や調査対象など異なるようです。それでは、日本と海外の出生前診断の受診率について説明していきましょう。

日本
出生前診断の非確定的検査の場合は妊婦の1.7%、確定的検査の場合は1.2%が受けています。日本では倫理的観点から、今現在はすべての妊婦さんに出生前診断の積極的な説明はされていないようです。
アメリカ
出生前診断の非確定的検査は70%、確定的検査は5~10%の妊婦さんが受けています。すべての妊婦さんを対象に、出生前診断の選択の説明があり選んで検査を受けています。
イギリス
出生前診断の非確定的検査は84.4%、確定的検査は5.4%の妊婦さんが受けています。すべての妊婦さんを対象に、出生前診断の選択について説明があり選んで検査を受けています。

海外ではいずれもすべての妊婦さんに出生前診断の選択が説明され、受診率も非常に高いですが、日本では妊婦さんに積極的な説明はなく、受診率は海外に比べてまだまだ低いです。海外では流産や死産のリスクがある、羊水や絨毛を採取する確定的検査の割合が低く、多くが採血のみの非確定的検査を選んでいることが分かります。非確定的検査によって陽性という結果が出たなら確定的検査を受けることになりますが、まずは安全で簡単に検査できる非確定的検査を気軽に受けることをおすすめします。

日本において、新型出生前診断を含む出生前診断の受診率は海外ほど高くなく、それほど一般的な検査だとはいえません。ただ、出生前診断の中では、他の検査が減少している中で、新型出生前診断は年々増えていることが分かっています。リスクがなく精度が高い新型出生前診断は、今後日本でも受診率が上がっていくことが予想できます。

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