妊娠中の子どもがダウン症かどうかはいつわかる?調べる具体的な方法を解説

出生前診断

妊娠中の子どもがダウン症かどうかはいつわかる?調べる具体的な方法を解説

高齢での妊娠や、長い間不妊だった場合、「自分の子どもは果たして、健康に生まれてきてくれるのかな…?」と不安を感じてしまいますよね。妊婦の年齢が高ければ高いほど、胎児に対する影響やリスク、染色体疾患が発現する可能性は上がるとされています。

今回は、その染色体異常によって起こる、「ダウン症」について、具体的な症状や調べ方などについてご紹介していきます。

そもそもダウン症とは?

「ダウン症」というのは、通常、21番目の染色体が2本あるのに対し、3本となってしまう染色体異常が生じることで起きる、先天性の症候群です。割合としては、生まれてくる新生児のうち、600~800人に1人程度で発生するとされています。

ダウン症の主な症状としては、「筋肉の緊張低下」などが挙げられ、見た目にも大きな特徴が見られます。たとえば、鼻や耳といった顔のパーツが扁平で位置が低い、後頭部が平らである、背中やお尻あたりに余分な皮膚があったりするといったものが挙げられます。

そしてこれらの体の特徴以外にも、言語能力や運動能力などに若干の遅れなどが発生しますが、どれも程度や発達の速度などには個人差があり、中には自閉的な行動をとる方もいます。そのため、ダウン症にみられる特徴というのは、一つの個性ととらえることができます。

さらに、ダウン症者には心臓や消化器といった器官に合併症を発症するケースも多くあります。たとえば、左右の心室を分けている心室中隔に穴が開く「心室中核欠損症」や、思い便秘症や腸閉塞を併発させてしまう「ヒルシュスプルング病」などがあります。

他には、インスリンの不足によって血糖値が上昇する「糖尿病」「甲状腺の機能低下」「白内障」「緑内障」といった疾患が現れる場合があり、年齢や発達段階に応じた定期的な検査や治療が必要となります。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

高齢出産はダウン症の子どもを妊娠する確率が上がる


ダウン症などを含む染色体の異常による胎児への影響は、年齢が35歳以上の出産である「高齢出産」になるとその可能性が高まると言われています。

染色体の分裂が起きる原因としては、卵子の質の低下によって起きるとされており、加齢とともに卵子の質の低下は避けられないものとなっています。ダウン症の発症確率としては、妊婦の年齢が20代の場合は2000人に1人程度ですが、高齢出産にあたる35歳であれば365人に1人、40代であれば100人に1人といった割合となっており、年齢とともに発症確率は高くなります。

ダウン症の他の染色体異常で起きるものとしては、18番目の染色体が3本存在する「エドワーズ症候群」、13番目の染色体が3本存在する「パトー症候群」などが挙げられ、染色体異常による流産・難産の可能性もあるとされています。

妊娠中の子どもがダウン症かどうかを調べる方法はある?

「自分の子どもがダウン症である可能性があるのか不安」といった方も多いのではないでしょうか。ダウン症にはさまざまな合併症を併発する恐れもありますし、妊娠中から気づくことで生まれてからの育児や療育への準備にあてられます。

妊娠中からダウン症を発症する可能性があるかどうか判断するためには、「出生前診断(出生前検査・出生前遺伝学的検査)」を受けるのが有効です。診断には、単体では確定できない「非確定検査」と呼ばれるものと、確定できる「確定検査」と呼ばれるものがあります。中でも、妊婦さんの中で近年多いのは「NIPT(新型出生前診断)」であり、これは採血のみで検査が可能なので、比較的妊婦さんや胎児に与える絵今日も少ないながらも、精度の高い検査となっています。

しかし、この検査はいわゆる非確定検査にあたるものなので、この検査のみで陽性反応が出てもダウン症である確定はできません。本当にダウン症であるかどうかの確実性を持たせるためには、この検査を受けるほかに「羊水検査」といった確定検査を受ける必要があります。

羊水検査に関しては、妊娠15週以降に受けられるものですが、100%を保証するものではないので、ごくまれに出生時になってダウン症以外の染色体疾患や奇形児な度が生まれる可能性もあります。

もし、こういった検査結果によって妊娠を継続しないといった場合は、「母体保護法」といった規則により、妊娠22週未満までに選ばなければいけません。さらに、このNIPTを受験するにあたっては、年齢制限といった条件を設けている学会認定施設や、受けられる時期・調べられる疾患の制限がある施設もあるので、受ける前に十分な情報を得ることが大切です。

また、受験に対する疑問や不安といったものに対しては、それらを解消するために事前に専門家による遺伝カウンセリングを受けるといったこともおすすめです。どちらにせよ、安心してNIPTを受信するためには、自分に合ったタイミングで充実したケアができるかといったことも踏まえて、病院選びは非常に重要だと言えるでしょう。

出生前診断を受ける前に把握しておくべき点


最後に、出生前診断を受ける前に気を付けておくべきポイントについてお話します。近年女性の晩婚化や高齢出産・高齢妊娠の増加に伴い、出生前診断を受ける人の数も増えつつあります。

やはり、「高齢妊娠だとダウン症の可能性が高くなる」「周囲で不妊治療を受けている人がいる、もしくは自身がそうである」「妊婦検診でダウン症などの染色体異常の可能性を指摘された」といったさまざまな理由で、検査を受ける方がいるのです。

しかし、始めから出生前診断を受けない選択をする人もいますし、ダウン症の疾患の可能性があるとされていても協力して育てていく覚悟を決めた人はあえて受けないケースもあるのです。

出生前診断を受けるきっかけや、結果の解釈の仕方・受け止め方、さらに今後をどうしていくかなどの展望についてはその家族、それまでに育ってきた環境によっても千差万別と言えます。いずれにしても、まず出生前診断を受けるかどうかもまた迷われる場合は、事前に遺伝カウンセリングといった専門家の意見を参考にするのが大切です。

さらに、検査の結果次第によっては、どのように育児をしていくのか、どう受け止めるのか、夫婦でよく話し合う機会を設けることが必要不可欠となるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、「ダウン症」の具体的な症状を中心に、ダウン症の可能性にいち早く気づけるのに有効な「出生前診断」について、把握しておくべきポイントなどをまとめてみました。

ダウン症にみられる症状や特徴といったものは個性ともいわれるほど人それぞれであり、程度も人によりけりです。さらに、現在では医療の発達により、ダウン症による合併症に対しても十分対応できる医療が備わっており、ダウン症者が健康的に生きられる寿命も年々延びつつあります。

もし、ダウン症の可能性を疑われることがあれば、実際にダウン症児を育ててきた経験のある家族について話を聞いてみたり、自分の周囲にはどういった制度があるのかを知ることも重要です。さらに、そもそも出生前診断を受けるかどうかを夫婦間で話し合うことも忘れてはいけません。

出生前診断を受けるかどうか迷っているという方は、抱える不安やダウン症に対する疑問点などを専門家による遺伝カウンセリングを受けることも検討してみてください。そのうえで、夫婦なりの考えや今後の対処法を考えていきましょう。

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