羊水検査はいくらでできる?大まかな費用相場を知っておこう!
羊水検査はいくらでできる?大まかな費用相場を知っておこう!
親として、生まれてくる子どもに先天的な病気や異常がないかは非常に心配ですよね。おなかの赤ちゃんに何かしら染色体に異常がないかを調べられる検査のひとつに、「羊水検査」があります。
今回はそんな羊水検査に関して、どういった検査なのか、そしてかかる費用相場などについて解説します。
羊水検査とはどのようなもの?
羊水検査とは、赤ちゃんが生まれる前に受けられる「出生前診断」のひとつです。おもに染色体や遺伝子に異常があるかどうかを調べることができます。赤ちゃんは羊水の中で大きくなるため、羊水の中には赤ちゃんの細胞が多く含まれており、その細胞を採取して異常がないか検査をしていきます。
羊水検査は「確定的検査」のひとつ
そもそも、おなかの赤ちゃんの染色体や遺伝子に異常がないかを調べる検査は「確定的検査」「非確定的検査」に分けられます。非確定的検査では陽性の判定が出たとしても、異常の可能性があるだけで、本当に異常があるのかをより明確にしたい場合に確定的検査を受診するのが一般的です。
羊水検査は確定的検査のひとつに位置付けられているため、検査自体の信頼度は高いものの、直接お腹に針を刺すため痛みをともない、流産のリスクも否定できません。そのため、受診するかは慎重に考える必要があるでしょう。
本来は、新型出生前診断(NIPT)や母体血清マーカー、コンバインド検査、超音波(エコー)検査の非確定的検査を受けた上で結果次第で医師から必要に応じて受ける場合がほとんどです。
羊水検査を受けることができる条件
羊水検査を受けたいと思っても、誰にでも受けられるものではありません。さらに、全ての異常が見つかるわけでもありません。
羊水検査を受けるための代表的な条件として、
・夫婦のどちらかが染色体異常で遺伝子をもっている方
・ダウン症などの染色体異常と出産・妊娠中に言われている方
・母親が高齢妊娠(35歳以上)をしている方
・新型出生前診断検査(NIPT)で「陽性」と診断された方
これらが挙げられます。
検査内容とかかる時間
具体的な検査の内容としては、まず、お腹をよく消毒して皮膚の表面に麻酔を行います。超音波機器で赤ちゃんや胎盤、羊水の位置を観察しながら、穿刺針(せんししん)という針で子宮の中へ差し込み、15〜20mlの羊水を採ります。
このとき、一度では十分な量が採ることができない場合もあります。その場合は2、3回繰り返して採ることもあります。採った羊水の中の細胞を増やした後、検査方法によって染色体の数や形状などを調べていきます。
羊水の採取に約5〜10分ほどかかり、その後30分ほど安静にして、再度エコーを行い異常がなければ終了となります。とくに問題がなければ、正味1時間程度で検査は終わるでしょう。
検査結果については、各検査機関にもよりますが2~4週間後に出るのが一般的です。
羊水検査の種類ごとの違い
羊水検査の種類は、染色体分染法、qf-PCR(Quantitative Fluorescence PCR)、FISH(fluorescence in situ hybridization)法、マイクロアレイ法の4つがあります。なかでも、もっとも細かい検査方法はマイクロアレイ法です。これは全染色体(46個)のうち、たくさんの遺伝子を調べることができます。
染色体分染法
染色体は縞模様のことをバンドといい、蛍光色素というものを使って縞模様をよりはっきりと見えるようにした方法です。検査では、染色体の数が異常だったり、逆位、転座、大きな欠失や同じものが重なっているといった構造異常がわかります。
しかし、検出される感度があまり高くはないため、染色体の異常を見つけられない場合もあります。
qf-PCR(Quantitative Fluorescence PCR)法
特定された染色体の一部のDNAをPCRで増やして、染色体がトリソミーかどうか測る検査方法です。調べるために検査キットが売られています。
おもに21トリソミーと呼ばれるダウン症、18トリソミーと呼ばれるエドワーズ症候群、13トリソミーと呼ばれるパトー症候群、モノソミーXと呼ばれるターナー症候群、トリソミーXと呼ばれるトリプルエックス症候群、クラインフェルター症候群といった染色体異常を疑うときに広く使われています。
FISH(fluorescence in situ hybridization)法
FISH法は蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法ともいいます。特定された場所だけを蛍光染色で光らせることができ、DNAの切れ端の部分を染色体につなげることで、顕微鏡で染色体異常を見つけるための検査方法です。
FISH法では染色体の欠失や同じものが重なっているといったものがわかります。しかし、染色体異常や変異があった場合は遺伝子レベルになってしまうため、細かい部分を調べるのはとても難しいです。
マイクロアレイ検査
赤ちゃんの染色体をひとつひとつ細かく分けて、蛍光物質をつなげて検査します。通常の染色体分染体よりも100倍以上の細かい染色体を調べることができる、優れた検査といえるでしょう。ちなみにマイクロアレイとは小さい配列という意味です。
羊水検査にかかる費用の目安
羊水検査は強制的な検査ではなく、自由診療となります。そのため保険は適応外となり、基本的に検査費用は全額自己負担になります。
羊水検査自体にかかる費用は、おおむね約10〜20万円と言われています。ただし、羊水検査だけで検査することはほぼありません。その前に非確定的検査をする場合がほとんどで、そちらにも費用がかかります。トータルでは約30〜40万円ほどかかる可能性があると認識しておきましょう。
しかし、あくまでも目安です。検査内容によっては費用が多少異なりますので、事前に確かめておくとよいでしょう。
羊水検査を受ける前に理解しておくべき点
羊水検査は診断の密度が高い確定的検査でありますが、必ずしも万能とは言い切れません。実際に検査を受ける前に、もう一度羊水検査のことをしっかり理解しておく必要があるといえます。
検査結果は100%正確ではない
あくまでも羊水検査は異常である可能性を調べるための検査であることを理解しましょう。羊水検査で異常が見つかってしまった場合、残念ながら異常と判断されます。検査結果が陰性であっても、赤ちゃんが必ずしも100%大丈夫であるという保証はありません。
陽性の結果が出ても、治療ができるわけではない
検査結果で異常がわかったとしても、治療することができないことを理解しましょう。
流産などのリスクを伴う
羊水を採るために子宮に針を刺すので、流産や早産のリスクを伴い、赤ちゃんを傷つけてしまう可能性があります。検査後に流産してしまったという結果も報告されています。特に年齢が若いお母さんは、赤ちゃんの異常確率が検査のリスクよりも低いことから、安易な気持ちで検査は受けないほうが良いかもしれません。
正常に検査できないケースもある
検査結果が上手く出ないこともあることを理解しましょう。細胞の数が少なすぎたり、羊水が上手く採れてなかったりといったケースがあり、なかなか結果が出ないこともあります。
実際、一度に採れる細胞の量はとても少ないです。そのため、検査に必要な数になるように増やしていく必要があります。増やすにも時間がかかるので、検査結果が出るまでに数週間以上かかります。しかし、増やすプロセスでうまく数が増えない、羊水がきちんと採れていないといった場合に結果が出ないこともあるのです。
まとめ
羊水検査は母体への影響も考えられるため、事前に新型出生前診断(NIPT)などで陽性と診断されてから受けることが望ましいです。
また、羊水検査を受けるかどうかの最終的な判断は自分ひとりで悩まず、専門家やカウセリングから説明を受けた上で、メリットとデメリットをしっかり考えて検査するか決断をしましょう。
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